私の目の届く範囲にいてくれ
「今日は何をしていたんだ?」
いつものように紅茶のカップに砂糖をたくさん入れ、かき混ぜながら名前に尋ねる。
『お昼は庭の花の手入れをしていたの。真っ赤なバラが咲いたの。もっと手入れを頑張らないとね』
「...そうか、それは良いな。怪我はしていないか?棘が刺さらないか心配だ」
『ふふっ…大丈夫よ。…あと、ジェームズと一緒にランチを頂いたわ。』
「ジェームズだと!?ノリントンか!!何であんな奴と…」
ガチャンッと音を立て机にカップを置き、名前が座っている椅子のそばまですこしあせった足取りで向かった。
どうやら名前とノリントンが一緒にいたことに嫉妬し、不機嫌になったベケット。
『あらあら、ジェームズは紳士で優しいわよ。まさにジェントルマンね…』
名前はそう言い、艶笑をこぼす。
「…名前は私よりノリントンが良いのか…?」
少し寂しそうな表情をしながら聞く。
『...ジェームズの方が好きだわ』
名前は嫉妬しているベケットが可愛いと思い、わざと言ってみた。
すると名前の視界が天井へと反転し、フワフワなソファーへと横になった。
どうやらソファーに押し倒されたらしい。
「…それは本当か?」
悲しそうな表情を浮かべているが、表情と行動が真逆なことに名前はしろどもどろになる。
「私のどこがノリントンより劣っている?身分も申し分ないだろう?あいつより私の方が君を想っているし愛している…」
あまりにも真剣に受け止めているので『カトラー、嘘よ。』と言い直す。
すると、押し倒された名前の上に覆い被さるようにして、ベケットの熱っぽい視線がぶつかり、顔が近づく。
「私を試したのか…?これだけ君を愛しているというのに…私の愛が伝わっていないのか…?」
絡まるような熱い視線で見つめてくるので思わず名前は顔を逸らしてしまった。
するとベケットは、名前の顔をくいっと正面に向かせ、貪るような激しいキスをした。まとわりつく荒々しい執拗な口付けに耐えきれず、息をしようとするがそれすらも許してくれない。
キスが終わると名前の唇はどちらのものか分からない唾液でテラテラと光っている。
ぞくっとする程艶めかしい姿だ。
息をめいいっぱい吸って呼吸を整えている名前の頬や髪、首筋、ドレスから見える胸元などにキスの雨を降らす。
「私がどれだけ君を愛しているかたっぷりと教えてあげよう…冗談を言えないくらいにな…」
まるで、いたずらを企てた子供のように情欲的な笑みを浮かべたベケットに、軽々と抱え上げらた名前は、お姫様抱っこされ、寝室へと向かっていったのだった──────