プロローグ


天国行きの扉を通ったはずなのに、何故か鬼灯様は現世にいた。いや、現世では見たことのない場所、聞いたことのない地名、どの国にも当てはまりそうにない文化……それらを考えるに、ここは異世界だろう。

鬼灯様はその事にすぐに気がついて、そこらへんにいる浮遊霊を捕まえて情報収集をした。


「なるほど。ハンター、ですか」


そしてこの世界ではハンターという職業がある事を知った。

天国へ行くつもりだったのだから、鬼灯様の格好はいつもの草履に着物に金棒のセットだ。擬態薬も当然飲んでいないからツノも普通に生えている。しかも現世へ行くゲートを通っていないにもかかわらず、鬼灯様の姿は一般人に余裕で見えていた。そして一般人には幽霊は見えない。

つまりどういうことかというと、謎の格好で空中に話しかけていた鬼灯様完全に周囲から浮いていた。けれど本人は気にすることもなくこれからの計画をたてている。さすがのメンタルといったところか。

そしていろんな幽霊からひとしきり情報を集めると


「面白そうですね。受けて見ましょうか、ハンター試験」


鬼灯様はハンター試験を受けることに決めたのだった。