電話
時は少し遡り、ケイドロがあった日の前日。
フランに電話がかかって来た。
「はーい。ご用件をどーぞー」
〈私です〉
「私私詐欺は間に合ってますー」
〈クフフフフ、今度あった時に串刺しにしてさしあげます〉
「冗談ですよー。心狭いですねー……
〈何もない時にわざわざおチビに電話しませんよ。そろそろシロが動きそうなので、その報告です〉
「そういえば今あのタコせんせーを作った研究機関に潜入しているんでしたねー。どうですかー?」
〈どうもこうも無いですよ。よく表側の世界でここまでの事をしたものです。さっさと潰してしまえばいいものを……〉
骸は、実験施設が嫌いだ。対象が犯罪者とは言え、その行いは許せない。研究機関が黒側にあったら、速攻で潰している。しかし、表社会に属していたので、簡単には手が出せない。
昔、復讐者の活動が一時休止していた時(今はもう活動している)に、裏社会を取り締まってたのはボンゴレだ。今は表や灰色の人間がうっかり黒側に来ないよう、監視している。
10年前から、ボンゴレは表、灰色、黒、すべての世界のバランスを保ってきた。
そんなボンゴレが表社会の研究施設に手を出したら、混乱しか起こらないだろう。
だから今はこれ以上問題が起きないよう、監視することしかできない。
「ミーはどうでもいいですー」
〈そうでしょうね。そんなことよりも、先程の件の続きです〉
「……何でしたっけー?」
〈人の話はちゃんと聞きなさい。あのシロという人物についてですよ。世間を巻き込んで派手に動きそうなので、街に幻術士を潜ませることになりました〉
「えー、また
〈私ではありません。喜びなさい、今回はクロームですよ。2日後にフランの元へ行きます〉
「わーい、クローム姉さんなら大歓迎ですー」
クロームはフランに優しいので、フランはクロームのことは好きだった。だからクロームにはイタズラもしないし無闇に煽ったりもしない。というか、やってもクロームはぽやぽやしているので、反応が薄く、やる意味がないのだ。
〈相変わらずですね。それでは頼みましたよ〉
「わかりましたー」
そして電話は切れた。
近々、この街に、E組に、騒動が起きる。
フランはやっぱりどうでも良さげにそれを聞いて、家にクロームを向かい入れる準備するのだった。