13.不穏な陰
「花純ちゃんは、何にした?係」
「っあ、えっと……演劇雑用です、写真部なので」
「そっか。俺は模擬店だよ」
木曜日の図書館。
テストが終わったにも関わらず、マサアキくんはずっと勉強を見てくれている。
「何やるんですか?」
最近、なんとなく前よりも会話が弾むようになってきたかな。
ちょっと、嬉しいかも。
「今考えてるけど……花純ちゃん、何食べたい?」
「えっ、わたしですか?……そうですね……たこ焼き、とか」
「んじゃそれ提案しよっと」
「え、そんなんでいいんですか?」
「だってそしたら花純ちゃん来てくれるでしょ?」
「……え」
そういうことを、不意打ちで言わないで欲しい。
嬉しくて期待してしまう胸を抑えて会話を逸らす。
「……っと、もうこんな時間か。んじゃ、キリいいし今日はここまででいっか」
「ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げ、用事があるというマサアキくんを後に図書館から出た。
楽しかったな、と廊下を歩いていると。
「!った」
前から来た人を避けきれずにぶつかってしまった。
「っあ、ご、ごめんなさ」
咄嗟に謝る声は、冷たい一言で遮られる。
「慧人と馴れ馴れしく喋ってんじゃねーよ」
「……え?」
酷く冷たい目でわたしを一瞥すると、その子はすたすたと行ってしまった。
「……まぁ、こうなるわな」
冷静を装って一人呟いてみた、けど。
……超こえーじゃん。
明日学校やだな、なんて
折角の楽しかった気持ちが、どこかへ行ってしまった。