Dream in Dream

06We are...2

「どこの国や世界でもそうであるように、この世界の王族にも神話が存在します。
それが、『王族の運命の相手はウェイカー―――夢の外の世界―――にいる』、というものなんです」

「ウェイカー……それが、私たちがいた世界の名前なんですね」

「ええ。
初代の王が成人の儀を迎える時に現れたのが、ウェイカーから来た初代お妃様と言われております。
それから何年かは成人の儀の時に同じようにウェイカーからいらした姫様がお妃様になったのですが、
いつからか現れなくなってしまったり、妃になりたいがためにウェイカーから来たと嘘をつく者がいたり、終いにはウェイカーから二人いらしたり、とウェイカーの規則性が失われ、成人の儀が毎年混乱するようになってしまいました」

「「……」」

言葉が紡げない。
今の話が正しいとすると、私たちはその王子様のお嫁さん候補ってことになるし、
しかもふーちゃん、そしてまだ見ぬお妃様候補と争うことになる……ってことだよね……

「……あぁ、お二人共、そのような顔はなさらないでください。
すみません、心配になりましたよね。

そこで、この世界ではこうなったのです。
『成人の儀はウェイカーから姫が来てから一週間後。
それまでに王子は誰を妃にするかを決める』

その規則を決めた後からは、王子も混乱することなく、
さらには妃候補全員に婚約者が出来たのです」

「……っじゃあ、私たちが出逢った人が違う人だったし、私たちの好みって絶対被らないから……」

「はい。無理に争う必要は全く無いということです。」

「「よかったぁ……」」

ふたりで肩を撫で下ろしたところで。


「……ほら、見えてきましたよ。あれが、フィオレンツァ王国城下町です」

「「……っわぁ……!」」


花で飾られた高い城壁に、薔薇のアーチ。
そこを潜ると、花と煌めきでいっぱいの、可愛らしい街が目の前に開けた。

「綺麗……!」

「本当、素敵……」


「ウェイカーのお姫様がいらしたぞ!」

「なんて素敵な馬車!」

「あ、あのお二人かな?」

「うわー、可愛い!」


どうやら今日私たちが来ることは知れ渡っているみたいで、街の人々は窓から見える私たちを歓迎してくれているようだった。


「あたし、妃になんてならなくていいよ。ここに住めれば」

「ふふっ、確かに」

"誰かのお嫁さんになる"なんて重圧が吹き飛び、私たちはただ目の前の後継に目を輝かせた。

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