メンバー全員の連絡先入手。
趣味、好みの把握。……同時に、それとなく苦手なものやトラウマの把握。
一部メンバーの掌握。具体的に言うならば……グループ内に彼女(?)がいるメンバーだろうか。
宿舎の内部構造の把握及び清掃。
翌日のスケジュールの組み立て。
……以上、彼女が彼らと出会ってからものの数分で成し遂げたことである。
先程まで険悪だったヒチョルも、ハンギョンの不意をついた可愛らしい表情の写真をルナから送られ見事意気投合し、『ハンギョンを愛でる同盟』を組むまでに至った。
「……では皆さんいいですね、明日のスケジュールに備えて寝てください。私は帰ります」
きびきびと伝えるルナを引き留めたのはリョウクだった。
「そんなこと言わないで、僕の作った料理食べてってよ」
「いくらリョウクさんの可愛い頼みといえど恐れ多いです」
「……ヌナ、僕の料理食べてくれないの……?」
「…………いえ、ありがたく頂きます」
いくらルナといえど、イケメンの上目遣いには勝てなかった。
そんなルナを凄い形相で見ていたイェソンに、ルナは携帯を軽く振って見せた。
「?……!!!」
不思議に思ったイェソンは携帯を見て驚愕した―――なんと、先程のリョウクの可愛らしい顔の写真が送られていたからだ。
「おま、どうやって」
「企業秘密ですよ」
「……ヌナ、教えてくれないの?」
「そういうのいいんで」
……前言撤回、ルナは可愛い人『だけ』には弱いようだった。
「ねー、俺たちのこといろいろ聞いてくれたけど、ヌナのこと教えてよ」
熱い鍋をはふはふしながら、ウニョクがルナに話しかける。
「いいですけど、そんなに話すようなことはありませんよ。……それから先程からヌナ、と呼ばれていますけど恐らく私はキュヒョンさんよりも年下です」
「え!?大人っぽいね」
「老けてて悪かったですね」
「そういう意味じゃないって〜」
さっきからイェソンが饒舌である。……恐らく『リョウクを愛でる会』を設立して欲しいのだろう。
「でも、本当に何から話せばいいのか……」
「好きなこと!あるでしょ!」
そう元気に話題を振るドンへ。ウニョクの隣で楽しそうにウニョクにちょっかいを出している。
「好きなこと、ですか……そうですね、趣味は色々あります。写真を撮ることが一番好きですが、他には合気道とかですかね」
「「「あ、合気道……?」」」
「?ご存知ないのですか?」
「いやいやいや!」
「知ってるけど、その……」
「あいにく女性らしい趣味など持ち合わせていないので」
メンバー達もだんだん、ルナは皮肉を込めているのではなく素でそう言っていることが解ってきた。―――仏頂面、というか表情筋が動いていないのは変わらないが、「もってないの、えへへ」と顔が言っている気がした。お茶目だな、この人。