「……ということで今日から皆さんのマネージャーになりました。ルナです
よろしくお願いします」
「「「「…………???」」」」
戸惑うメンバー達をよそに、その少女―――齢はとうに少女と呼べる年齢を超えているのだが、彼らの前ではそう形容するに相応しかった―――はぺこりと頭を下げた。
トレードマークのポニーテールが一緒に揺れる。
「……説明が足りなかったでしょうか」
「ああ、いや、充分に伝わったよ」
そう答えたのはリーダーのイトゥクさん。
流石リーダーと言うべきか、若干お爺ちゃんみがあると言われようと、こういう時の適応力はある。
……といっても、余りに彼女の説明が的確かつ簡潔だったため、メンバーの処理はとうに追いついていたのだが、思考がついてこなかった、というだけなのだが。
「……急なことで驚かせてしまいすみません。これもひとえに皆さんが安心して活動できるようにする為の措置です。
私も皆さんが戸惑わずに過ごせるよう善処致しますので、何卒よろしくお願いします」
とにかく腰の低い彼女に、メンバー達は戸惑い顔を見合わせながらも、口々によろしく、と声をかけ始めた。
「……そんなこと言ってお前、本当に俺たちに興味ないの?なんか邪な心があるんじゃないの、本当は」
過去にメンバーを傷つけられたことからか、警戒心の高いヒチョルがぶっきらぼうに声をかける。
「やめろよヒチョル、彼女だって今日が初めてだから緊張してるのは同じだよ」
同じ腰の低い者同士親近感を覚えたのか、イトゥクが慌ててヒチョルを宥める。……が、勢いづいてしまったのか彼は止まらない。
「……これでまたトラブルが起こってみろよ、もうやってらんねーよ」
じり、じり。
だんだん壁に追い詰められ、遂にルナの背は壁についた。
そして、
ドンッ
『カシャッ』
「「…………かしゃ?」」
……見ると、ルナはカメラを携帯のカメラを構えていた。
「ブレ、逆光無し……よし
ヒチョルさん、この写真ツイッターにあげていいですか、ていうかあげてください」
「……は?」
「写りが最高によかったと言っているんです。何せヒチョルさんの壁ドンですよ、5万ふぁぼ余裕ですよ、っていうか、壁ドンなら私じゃなくてハンギョンさんにしないと」
「……お、おい」
「お、俺!?」
急に饒舌になったルナに、戸惑いを覚えたのはヒチョル―――そして巻き添えを喰らったハンギョン―――だけではなかった。メンバーの顔に、なんとも言えない表情が浮かぶ。
……そこに、以前からマネージャーをしているヘヨンが口を開いた。
「……見ての通り、彼女は商売熱心なオタクなだけです。良くも悪くも貴方達のことを『商売道具』としか見ていません」
「しょ、商売道具……」
「…………俺、聞いたことあるかも」
「え?」
日頃からスタッフと仲のいいリョウクがぽつりと零した。
「SMエンターテインメントには最強の社畜がいる……って。なんでもその人が仕事に関わるとろくな事しかないとか」
「社畜……オタク…………まさか」
彼女の正体に気づいた一部のメンバーが目を見開く。それこそ、『伝説の勇者に出会ってしまった』というような顔で。
当の本人はヒチョルを上手いこと口車に乗せ、いつの間にか彼のメールアドレスとラインを入手し写真を送り付けていた―――ついでにハンギョンにも。
ルナ
無愛想ではなく仏頂面なだけ。
社畜。稼ぐためには何でもやる。
麗しい殿方が仲良くしているのを見ると心がぴょんぴょんする系女子。
ヘヨン※オリキャラ
ぽちゃマネ。SJのお母さん。
お分かりいただけただろうか……この小説内ではスーパーハピエン厨の作者の力が働いています……みんな仲良くSJやってるよ……