THE REAL FOLK BLUES

4


 組織に貢献してきたマリア・スミスがなぜ暗殺対象になったのか。
 理由は『ボスの暗殺を企てているから』

「私には別々に暮らす弟がいてね。その弟のスタンド能力があんまりにも強力で、反乱を恐れたボスに殺されたのさ。間抜けなことに私がそのことに気づいたのは、弟が死んで1ヶ月以上立ってからだった」

 マリアの背後には青い海が広がっている。崖の上にマリアとリゾットが立っていた。

「それでボスを殺そうと思ったワケか」

「正体を探ろうとしただけでこのザマだがね」

 マリアはどこか悲しそうに笑った。自嘲が大半だったが、どこかリゾットにも哀れみが向けられているように思う。

「いいかリゾット、こうなった以上お前はもう足を洗えない。覚悟を決めろ。肥だめの中を這いずって生きていく覚悟と、それでも誇りを捨てない覚悟を持て」

 ことあるごとに足を洗えと言ってきたマリアが、死に際初めてリゾットに『諦めろ』と言った。
 リゾットはとっくの昔に諦めていたので驚くこともない。
 けれど、この強い目にまっすぐ見つめられたのはいつ以来だったろうか。
 弟子になる時だったか、初めて人を殺した時だったか。
 もう随分昔の話だ。

「クソッタレた世界の1番底辺の肥だめに生きる私たちだからこそ、絶対に仲間は見捨てるな」

「――……」

 口を開きかけて、少し考えた。この場合どう答えるのが正解なのだろう。
 いつもなら『わかった』と頷いていたのだが、今回リゾットはマリアを殺すためここにいる。
 
 昔彼女に言われた事がある。
 『敵の言葉に耳を貸すな』
 その時リゾットは、『わかった』と返答した。

「……お前に、指図されるいわれはない」

 マリアは安堵したような笑みを浮かべ、直後リゾットに殺された。
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