平和に行きましょう。


「罪悪の問題です、きっと」
 そんな言葉が口から滑り、それが自分の言葉だと気付いて驚いた。目の前の医師は先を促すように黙している。
 若干の決まりの悪さに口元に触れながら、そうして言葉を選びながら、たどたどしく思考を音にする。これはきっと、褒められた考えではない。
「善性を見出すより悪性を決めつける方がとても簡単です。そのくじを引く人達に各々の罪があるなら……それは知らないままくじを引くよりも、正当性があるように見えます」
「くじが決めるのは犠牲ではなく、正当な裁きだと。君は性悪説に寄っているんだね」
「……そう、なんでしょうね」
 本質的に悪だ。けれど生きる過程で善を知り、取り繕うことは出来る。化けの皮の向こうにいる悪と呼ばれるものの方が、個人を個人たらしめるものに違いない。





































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