平和に行きましょう。

そのいち


「おい、トモ」
 短い呼び掛けに、虎落は自分が眠っていた事に気が付いた。着慣れない喪服の下にある素肌から汗が吹き出し、額から頬にかけて流れた。
 恐怖と焦りで赤熱した心臓が急速に冷めていく。喘ぐように空気を求めて、肺が膨張と収縮を繰り返していく。叫ばなかったのは幸いだっただろう。
 目の前には見知った……殆ど生まれた頃から見飽きた幼馴染がいた。狼崎は虎落と同じように窮屈そうに喪服に身を包み、感情の薄い目でこちらを見下ろしている。筋張った手には、虎落の腕があった。そこまで見て、やっと自分が相手の襟首に掴みかかっていたことに気が付いた。







































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