平和に行きましょう。

くろす


 タオには恋人がいる。幼い頃から同じ島の中で一緒に育ってきた、ちょっとヤキモチ焼きでそれすら可愛らしい素敵な人だ。
 これまでもこれからも島の中で生活して、そのうち結婚して、夫婦になって静かに暮らしていくのだと信じて疑わなかったが、その恋人はつい数ヶ月前に島の外に行ってしまった。
 幸い「こんな島にいられるか!!」とか、「もっと広い世界が見たい!!」とかいう死亡フラグが約束された動機ではなく、かなり有名な学校から直接スカウトされ、勉学に励むという立派な理由がある。だが、出て行ってしまったのは事実だ。長期休暇は必ず帰ってくると約束したし、手紙もたくさん送ると言ってくれた。でも、不安で仕方ない。あんまり人の美醜を気にしないタオでも目をみはる綺麗な人だから、きっと島の外で自分以外の人にたくさん持て囃されるだろう。そう思うと、恋人が持つものを自分が持っていないことが酷く悲しく思えた。


 サラの故郷はありたいていに言うとド田舎を超えた島だ。未だ手付かずの自然が島の半分を占めていて、巨大な木の根が道を塞いでいたこともあった。しかしその分逸話や遺跡に富んだ世界的に価値ある島であり、外部から学者や業者が定期的に出入りして賑わっているので、案外人里部分は小綺麗に発達していたりする。
 そんな風にちょっとチグハグだけれどド田舎には違いない島が、サラの愛すべき故郷である。
「えっやですよナイトレイブンカレッジとか」
「あのだね、サラくん。これはとても名誉なことなのだよ。だからせめて、もうちょっと悩んでくれないかね」
「悩んでからなら断っていいんですか?」
「そうじゃなくてだね…」
 島唯一の町で町長をしているハーバルに言われようと、嫌なものは嫌である。
「素質があっても行く行かないは個人の自由じゃないですか。私は魔法に興味無いし、学ぶにしても島に魔法士いるし」






サラさん
ツイステ時空で摩訶不思議な体質持ち。わくアニ→やすらぎによる時空列で、神さまとかの牧場主との間に生まれた半神の子孫。そのせいで性別が確定しておらずよく変化している。NRCに来てからは男で固定している
女神の樹を守る役目をおった血筋。デフォで故郷大好きなので、悲観することもなく普通に「島で好きな人と一生を過ごすの幸せじゃん」と若くして人生を決めている。牧場経営しながらタオと釣りをしたりしなかったりしてのんびり過ごしたい、それが目的
NRCに入学すると性格悪い生徒が多すぎて相当うんざりする。寮はディアソムニアで2年生。部活はサイエンス部
リリアと面識ありそう





















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