平和に行きましょう。

くろすに


「前々から聞きたかったんだが、お前がころころ見た目変わるのはユニーク魔法なのか?」
「あー……説明めんどいけど、ジャックならいいかな。生まれつきの体質なんだ、実は」
「そんなことあるのか。それはお前と家族しか知らないようなことなのか?」
「ううん、故郷の島の人達はみんな知ってる。狭くて、決まった人しか来ない島だから安全だったの。私の体質もそうだけど、ご先祖さま辿ったらかなりこう、金銭価値が凄いらしくて」
「あぁ、だから先生たちが妙にお前を気遣ってたのか」
「うん。でも、別に死ぬまでずっとそうな訳じゃないから困らないよ、案外。やろうと思えばすぐこの体質どうにかできるし。でも、そうしちゃうとこの学校通えなくなるから卒業まではそうしないの」


「体質を固定する方法?女性か男性のどちらかと性行為すれば、その時の性別に固定されるよ。色々試した記録があったみたいで、研究結果もあるから今度読むといいよ。結構面白かった」
「お前よくそんな普通に言えるな…」
「ご先祖さまの涙ぐましい成果って思うと中々来るものはあるよ。まぁ、そんな訳でボクはここを卒業して故郷に戻ったら即結婚する」
「…そうか。故郷で彼女が待ってるのか」
「うん?いや、男だよ」
「は?」
「結婚するの、男。ボクは女になる」
「……。……お前がいいならそれでいいけどよ、いや…良いのか?お前も相手も」
「向こうから結婚しましょうって言われて、めちゃくちゃときめいたよね」


「ヴァンルージュ様。お久しぶりです」
「おぉ、次代殿。前に会った時はワシよりも小さかったが……今もあまり変わりないようじゃな」

「神さま……、母も、その母も、これまで一族の皆が歌ってきた歌を貴方様も知っておられるのですね」
「そうだ。あれが生きていた頃に歌った歌も、自然も、その同じものを全て我も愛すると決めた。片時も忘れたことなどない。………貴様が我とあれの子孫であるのは見ればわかる」
「そう、なんですか」
「あれと…サラの生き写しのようだ。小憎たらしいことに、声も似ている。名前も同じとは、な」
「黒髪と赤目は、一族でも私だけだから、そう名付けられたそうです」
























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