平和に行きましょう。

れんきん


「死者を甦らせる人体錬成は報いを受ける。けれど生者を生者のまま錬成したり、魂のない肉の人形を作ることそのまのは可能。ふぅん、要は元々そこに存在している物を作る分には神の領域ではないと」
 そして人形の中に他所から調達した魂を込めること自体も、決して禁忌ではない。……倫理観は如何なものとして。
「何にせよこれはこれで不老不死への1つのアプローチです。新しい肉体だけなら作れる。魂を引き剥がして別の肉体へ移し替える。定着してまともに人格が保てるかはさておき、とりあえず理論上は個人が連続して存在し続けることは可能でしょう」



 エリスは別に破壊を楽しみたい訳では無い。人を殺したい訳でもない。ただ、やりたいことを好きなだけやり続けると、結果的に人が死んでしまう。
「殺したくないから、きちんと治療してますよ。薬も包帯もケチったことないですし、食事も3食普通に出しました。部屋は…地下室だったので窮屈だったかも。大抵暴れるから拘束具も使ってしまったし…」
 指折り数えて、過去の「協力者」たちを思い出す。最初の人はとにかく失敗だらけだった。エリス自身何が必要で何が過剰だったのか把握出来ず、地下から実験室に連れていくまでがとにかく大変だったし、環境が整われていなかった地下室でやがて精神を病んで自殺てしまっていた。2人目以降も、改善はしたものの似たようなものだ。実験に付き合ってもらうにつれて、困惑の声が罵倒になり、罵倒から許しを乞うようになり、そして最後には死を求め始める。大切に扱っているのに、何故だろうか。


































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