ツンツン頭のヤンキーくん









入学式が楽しみなことからか、それとも気持ちの良い天気だったからか。
駅までの道を走りたくなるような気分だった。

そんな気持ちをぐっと抑えてホームへたどり着く。
肩掛けのカバンを持ち直せば、予定通りの電車がやってきた。

自由が売りな校風の雄英には、指定カバンはない。
だから、おとうさんに入学祝いだと買ってもらったカバンは丈夫でとても気に入っていた。

新しい制服に、新しいカバン。
電車に映る自分の姿にまた一つテンションが上がり頬が緩んでしまう。

そんな緩んだ表情で停車した電車に乗り込むと見慣れたツートーンカラーの少年がじっとこちらを見つめていた。
たまたま同じ電車に乗り合わせた彼に手を振り笑顔を向ける。


『轟くん!おはよう!』

「藤本……おはよう。」


中学の時は学ランだったから、ブレザーを着ている轟くんはなんだか新鮮だ。
制服のカラーがなんだか轟くんの色とマッチしていてとても似合ってる。

「なんでにやけてんだ?」

『なんでって、今日から高校生だよ?しかも憧れてた雄英の制服きてるとおもったらもう・・・・!』


そうか、と言って轟くんはいつもと変わらない表情だった。
高校生になった記念すべき日も、轟くんはいつも通りでなんだか安心した。

転校先の学校で最初に出会って同じクラスになった轟くんとは、3年生では別のクラスになった。
志望校が同じだから、またにある受験別のクラスで情報交換したり、世間話をするような関係だ。


『制服かっこいいね!似合ってる!』

「……藤本も似合ってると思う」

『ふふっ!ありがとう!』


そこから同じ1-Aに配属された話とか、ランチディッシュのご飯楽しみだとか、たわいのない話をしていたら、すぐに教室にたどり着いた。
とても大きな扉はきっと、バリアフリー仕様なんだろう。
轟くんが扉を開けてくれて中に入るとすでに2、3人席に着席していた。


とりあえず、挨拶と思っていると奥からズンズンと眼鏡をかけた男の子が近寄ってきた。


「おはよう!俺の名前は飯田天也!これからよろしく!!」

『よ、よろしく!藤本ひかりです!』

「…轟焦凍だ」


再度よろしく!と言ってまたズンズン席に戻っていった飯田くん。
藤本でも人見知りすることあるんだな、なんて轟くんがこそっと話してきたけど…、これは人見知りではなくて勢いに驚いただけだ。


指定された座席に着席してみると、飯田くん以外の人は基本時に静かに席に座っていた。
皆まばらに着席してるからか、会話はなく自席でそれぞれ時間を潰しているようだ。
集合時間まであと30分もある。

学校を探検しようかと思ったけど迷ってしまう可能性もあるので、自分の中でその選択肢が消える。
轟くんとお喋りしようにも、この静かな教室の中で話すのは少しだけ気が引けた。

結果することもなく、頬杖をついて時間を持て余していると、徐々に人が集まってきた。

飯田くんは入ってくる子一人一人に挨拶をしている。何というか、真面目な子なんだな思いながら飯田くんに巻き込まれる形で挨拶をする子達の名前を一人一人覚えることに専念した。

しかし、そんなスムーズな流れを断ち切る子が1人合わられる。


ガラガラッと一際大きな音をたてて入ってきたその子はそのままどかっと座ると足を机に乗せてくつろぎ始めた。

ヤンキー?と思っていると、これまで以上の勢いで飯田くんがその子に近寄って机に足を乗せるべきではない!と注意し始めた。



「思わねーよ!てめーどこ中だよ、子の端役が!」


聞き覚えのある口調だった。
後ろからだから顔は見えないけど、クリーム色でツンツンととがったその髪型もどこか見覚えがあるように思う。

結局ヤンキーくんは名乗ることはなさそうなので、自分の記憶を辿ってみる。
しかしながらそんあ時間も、登場した担任の先生に一瞬で意識が向いてすぐに終了することとなった。







-担任の相澤消太だ。よろしくね。








シャローム