卍2

想像していた生活には程遠い毎日が何ヶ月も続いていた。怒鳴られるとこも殴られることも泣かれることも無い。
世間では一般的な家庭。純粋に驚いたのだ。

これが普通。平和。無償の愛?

じゃあ母は何だったのだろうか。
家族ってなんなのだろうか。私と母は家族ではなかったのだろうか。母に叩かれてなければ私はこんな事考えることがなかったのに。母が全て悪いような気がして、怒っている母しか思い出せない。そんな自分がいた。

そんな私を見ておばあちゃんが

「叩かれたの痛かったね。お母さんの事嫌だった?憎んでる?」

私は分からなくなっていた。憎んでいるのか、恨んでいるのか、分からないままぼぅっとしてたら

「私はお母さんの味方ではないよ。痛いことは痛いって言っていい。助けてって言うことが悪いことじゃない。それも強さだ。あんたのお母さんはそれが出来なかったんだね。誰にも助けてって言えないであんたを間違った愛情で育ててた。殴られた方は勿論痛い。殴った方の何倍も。だけど、忘れてはいけないのは殴った方も痛いこと。あんたはあんたのお母さんみたいにはなっちゃ駄目だよ。あんたは痛みのわかる子だ。大事なもの守るために力を使いな。一方的な愛情じゃない、思いやる愛をしりな。相手がなんで力を振るうのかそこに理由があるならあんたはそれを汲んであげられるようなそんな大人になるんだよ。」

そういっておばあちゃんは私を抱きしてた。
その時初めて、痛くもないのに、辛くもないのに、涙が溢れた。

おばあちゃんに出会わなければ私は母のこと忘れようとしてた。過去に蓋して見ようとしなかった。

母はいつも泣いてたな。殴ったあとはごめんって私よりもないて抱きしめて、あの時どんな気持ちだったの?私を殴ることに理由はあった?
私を振った手痛かったでしょ?お母さんはどう思ってた?理由もなく私を叩いてたなら辛いなあ。悲しいなあ。でもおばあちゃんの話を聞いて、理由があればいいなって思ったよ。お母さんの辛さに寄り添える大人になりたいよ。まだ私はお母さんのこと怖いけど、痛み忘れられるほど強くなれた訳でもないけど、いつか向き合える日がくればいいと思うよ。
母に向き合う勇気をくれたおばあちゃん。

この日から私は少し前向きになれた気がするの。
まだまだ分からないこと、理不尽なことに、不安な事が沢山あるけど、おばあちゃんとの生活で少しずつ母の気持ちを汲み取れるような大人になりたいって思ったんだ。

いつか大人になって、強くなれたら、強くなって、母に会いに行けたらいいと思った。