近づく両面宿儺の気配

その日、僕はすみれと宮城県内のとある高校に任務に行った悠仁と恵の帰りを一緒に待っていた。悠仁と恵に課した任務は特級呪物である両面宿儺の指の回収

回収だけならそれほど難しい任務ではないため僕は二人に割り振り完了報告を待つことにした

すみれはすみれで一人にさせられないため、こちらの世界に慣れるまで僕が可能な限り連れ回している。そんなすみれは夜蛾学長に貰った呪骸に核を込めて起こすという課題を一生懸命やっている最中だ

最初、すみれは呪骸の名前をマサルって名前にしようとしていたけど僕が断固拒否した

…すみれ、学長から貰った呪骸の名前決めたの?

…うん、マサルにする

…マサル?!なんで?!もっと違う名前にしよ!すみれ、お願い!マサルなんて僕と傑の名前と似ててヤダ絶対にヤダ!

…むぅ、じゃあもう少し考える

結局、すみれが夜蛾学長に貰った呪骸の名前はオリヴァーになった。日本名からいきなり外国名になったのはビックリしたけどさ

呪骸の手をムニムニと握ってはしきりに話かけているすみれを横目に僕は手元のスマホをタシタシと弄る

「オリヴァー、起きてー。オリヴァー」

「ダメダメ、すみれ。それじゃオリヴァーは起きないよ」

「…難しい。さとるやって!」

「僕がオリヴァー起こしちゃ意味がないでしょ。はい頑張って」

僕に差し出してきたオリヴァーを突き返すと、すみれは大人しくオリヴァーと向かい合い直しむぅ〜と唸りながらオリヴァーに呪力を込め始めた

ポワポワとすみれのチカラの象徴である白い呪力がオリヴァーを包むがオリヴァーはうんともすんとも言わない

…恵と悠仁は無事に宿儺の指を回収出来たかな?今回は回収すること任務だから恵と悠仁に行かせたけど報告が遅いな

「お?」

恵と悠仁からの報告を待っていた僕のスマホが音を立てた。その音に集中力を欠いたすみれがオリヴァーに呪力を込めるのを止めて僕の足を器用に登ってくる

「さとるー。電話、ゆーじ?めぐみ?」

「んー、恵だね」

僕はよじ登ってきたすみれが落ちないように自身の太ももに跨がらせるように向かい合わせで座らせた

「もしもし恵ぃ〜、悠仁との任務はど?宿儺の指回収出来た?回収するだけなのに報告遅いから心配してたんだよね〜」

「さ〜と〜る〜!すみれも!すみれもめぐみと話すの!」

僕の太ももの上に立ち上がったすみれは短い腕を目一杯伸ばして僕のスマホを奪おうとしてくる

「あ〜ダメだよすみれ。今、僕大事な話してるんだから後でね」

ぷぅと頬を膨らませて僕に背中を向けてしまったすみれ

…あらま、ヘソ曲げたかな

それでも僕の太ももから降りないんだから可愛いなぁと思いながらなんとか機嫌を治して欲しくてすみれの柔らかい僕と同じ白銀の髪に指を通す

そして恵との通話に戻ったのだが恵から耳を疑う報告を受けた

「え?なんだって」

「だからないんですよ。両面宿儺の指が」

「マジ?百葉箱の中だよ?ちゃんと見た?」

「マジです。今、虎杖が隣で百葉箱開けたり閉めたりしてますけど」

「ははは、ウケる。じゃあ宿儺の指、回収するまで帰ってきちゃダメだから。悠仁にもそう伝えておいてよ」

僕は恵にそう伝えると電話を切ると僕に背中を向けて座り込んでいるすみれの脇に手を入れてそっと下ろした

「さとる?」

すみれがどうしたのだという顔で見上げてくるので僕はグリグリとすみれの頭を撫でた

「僕、ちょっと恵と悠仁を迎えに行ってくるからすみれは野薔薇の所に行ってて。この時間だし帰りは明日になっちゃうからね」

「すみれも行く。すみれも行くの!」

僕の脚にぎゅっと抱きついて離さないすみれにどうしたもんかなぁと少しだけ悩む

「すみれ、お土産買ってくるから良い子で待っててよ。すみれの大好きな喜久水庵の喜久福買ってくるからさ」

「ずんだ?まっちゃ?」

「全部に決まってるでしょ☆あ、伊地知ぃー今から悠仁と恵を迎えに行くから仙台まで新幹線取って。今すぐ」

伊地知に仙台行きの新幹線を取らせてる間に僕はすみれを預けるために野薔薇に電話をかける

「もしもし野薔薇ぁ〜今ヒマ?」

「はぁ?いきなり何?!今からバスタイムよ!乙女のゴールデンタイムだっつーの!邪魔すんな」

「僕、悠仁と恵迎えに仙台行ってくるからすみれのこと頼みたいんだけど。そのまま泊めてくれると助かるなぁ」

「はあ?呪物の回収任務なのにアンタが迎えってアイツらヤバいわけ?」

「どうだろう…特級呪物が行方不明らしくてね。上にバレるとうるさそうだからさ。ちょーっと様子見てくるよ」

「はぁ…仕方ないわね。そっちに行くわ。ちょっと待ってて」

「さっすが野薔薇!頼りになるぅ〜」

プチッと切れた電話にすみれは反応して振り向くもやっぱりその頬は膨らんでいて喜久福では釣り切れなかったかな?と思ったが後は野薔薇に任せればいっかと思いすみれの名前を呼んだ

「すみれ」

「…」

僕に抱きついてきたすみれを僕も優しく抱きしめ返す。その小さな手が震えていることに僕も気がついてはいた

…こんなに嫌がるってことは悠仁か恵になにかあるって事かな。両面宿儺…呪いの王1000年近く生まれていない器の存在。まさか…ね

近づく両面宿儺の気配
「すみれ〜!迎えに来たわよ!」
「のばら!」
「よし、野薔薇も来たし僕も行ってくるよ」
「さとる」
「グレートティーチャー五条に任せなさい!」

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