隠し事







「エイル、すまないがまたデュランダルを頼む」


と言ったアスラ様の側には、イナンナ様というとても美しい女性と、サクヤという可愛らしい女の子がいた。
イナンナ様とサクヤとの間の雰囲気から察して、差し詰め三角関係と言ったところだろうか。
イナンナ様とは話す機会が滅多になかったけれど、サクヤとは話す機会があり、今では仲良くなった。


「お任せ下さい、アスラ様。サクヤ、一緒に来てくれるかしら?」
「はい、エイル様」
「もー!様は余計ですわよ!」


アスラ様が設けてくれたわたしの部屋でデュランダルの手入れを行う。


「アスラ様って神経質な方なんですのね、1日に何回も手入れしてくれ、だなんて」


今日だけでもう3回目よ?なんて愚痴愚痴言いながら手入れを続ける。
サクヤはそんなわたしをそばで見てクスクス笑っていた。


「我は、エイルに会う機会が増えて、嬉しい」
「あらあら、なかなか嬉しい事を言ってくれますのね。ありがと」


デュランダルが人の形をしていたらきっと紳士な人なんだろうなぁ……なんて考えていたら、サクヤがあっと思い立ったようにスッと座っていた椅子から立ち上がった。


「お部屋のお花、もう枯れかけてるから替えますね。花のリクエストはありますか?」
「うーん……わたしお花はあまり詳しくないの。だからサクヤのオススメで……良いかしら?」


サクヤはニコッと笑って承知致しました、と花瓶を持って部屋を出た。
それにつられて笑顔で見送る。

部屋に2人きりになった所で、ここの所ずぅっと気になっていた事をデュランダルに聞いてみることにした。


「……ねぇ、デュランダル」
「何だ、?エイル」
「無理、してない?」
「我は武具。そのようなことは知らぬ」
「……じゃあ質問を変えますわね。わたしに隠し事、してるでしょ」


わたしの確信的な言い方に驚いたのか、デュランダルはカチャリと音を鳴らした。


「何故、そう思う」
「貴方は家族ですもの。嫌でも分かりますわ」
「…………していないと言えば、嘘になる」
「どうしても、言えない事?」
「、言えば、エイルに、嫌われてしまう」
「貴方の事を嫌いになるなんて有り得ませんわ。家族ですもの。……さあ、大人しく白状なさい」


今思えば、無理に聞かない方が良かった……そう思う。


「――……他の者には、絶対に秘密だ」



我は、××××を―――。


//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正
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