繰り返し見る夢







部屋の窓から小鳥の(さえず)りが聞こえ、私は目を覚ました。
……またこれか。
私が医術の女神のエイルという女性で、バルカンという鍛冶師に育てられ、私はよくバルカンが造った武器の手入れをしていた。

お兄――私の双子の兄のルカも同じく、繰り返し見る夢があるのだと、つい最近告げられた。
驚くことに、私の夢に出てくるアスラという人物がお兄なんだとか。
逆に、お兄の夢にも夢の中の私…エイルがたまに出てきているそうだ。

兄の方は分からないが、私がこの繰り返し見る夢を見るようになったのは、5年前の私達の10歳の誕生日からだ。
――原因は多分、誕生日プレゼントに貰ったうさぎのぬいぐるみ。
5年前、母様からプレゼントを渡された時に、そのうさぎから光が溢れ出たのだ。
それが見えたのは私だけだった。
その日から、ずっとずっと、同じ夢。

……いや、今日の夢はいつもより少し進んでいた気がする。
えっと……なんだったかな、うぅん……よく思い出せない。


「んん、……あれ、ヨハンナ?もう起きてたの?」


おはよう、と言いながらあくびをしてベッドから降りる私の双子の兄、ルカ。


「おはようお兄。またあの夢……見た?」
「うん、見た。……ヨハンナも?」
「もちろん。今日はいつもの夢より少し先が見えた気がしたんだけど、どんなのか忘れちゃった」
「そう……っあ、もう朝食の時間だ、行かないと!」
「あ!そだね……ってま、待ってお兄!着替え着替え!」
「え?わぁあ!!」


どこか抜けているというかなんというか……天然な兄を持ってしまったな、と思う。
アスラと正反対。
賢いところは似ているけれど。


「あ、ご、ごめん……ここ、閉めるね!」


2人で1つの部屋、お互い15歳という年頃もあって、つい先日私たちの部屋の真ん中には仕切りとしてカーテンが付けられた。
こう仕切ると、私とお兄のスペースは鏡のようになる。(伝わるだろうか?)


「……お兄終わった?」
「う、うん……!さあ行こう、ヨハンナ」
「うん、チーズスープの匂いがするね〜、ふふ」


//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正
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