素直に嬉しいの







「ふぅ、これで片付いたな」
「デュランダル……ッ!!」

 
たまらず“わたし”はデュランダルをギュッと抱きしめた。


「うぉ?!は、え……ヨハンナ?! 何してんだよ!」
「デュランダル、デュランダル! 会いたかったですわ……良かったぁ……」
「は、お前もしかして、……エイルか?」
「そうよ! エイルですわ! 良かったわ、本当に……」
「分かった、分かったから……離れろ、な? ルカとイリアの視線が痛い、特にルカ」
「え?……っあ! ご、ごめんなさい!やだ、何してんだろ、私……」


ハッと気が付き、スパーダくんから離れるも、自然と涙が出てきてしまって止まらない。
私の中に“誰か”の意識、感情が入ってきているのが分かる。
これはきっと……“エイル”だ。


「ほ、ほらぁ、泣くなよ、ルカめっちゃ見てる。めっちゃ見てるからぁ」


ちらりとお兄の方を覗くと、それはもう般若の面だった。
びっくりしすぎて涙止まった。


「し、しかしよォ、ルカって本当にアスラか?なっさけねぇなあ」
「じゃあ、スパーダ。君はやっぱり……」
「そ、オレの前世は聖剣デュランダル。」
「……君は僕の愛剣だった。幾度も共に死線をくぐり抜けてその都度君に感謝していたっけ」
「まぁ今考えるとおまえってさ剣に話しかけるヘンなヤツって話だけどな」
「き、君だって……」


お兄とスパーダくんは前世の話に花を咲かせた。
うう……私には分からない話だから何だかもんもんとする。
そして2人で再会のハグをすると、イリアが咳払いをして怪しい雰囲気を出すなと怒っていた。


「じゃああんたあの剣だった人?……あれ?人って言い方はヘンよね……まあいいか、あたしの前世はイナンナなの」
「は?お前がイナンナ?ホントかよ、お淑やかさの欠片もねェなぁ」
「あ〜ら、ありがと。あんたも全然剣っぽくなくて、普通の人間みたいね!」
 

などと2人で言い合いをしていると、ムダ話はそこまでだ、とさっきの赤い軍服の人がやってきた。


「なかなかの腕前だな、ただの献体に回すのは惜しい」
「そんなことで褒められたって嬉しかァないね」
「で?あたし達合格なワケ?」
「ああ満点をやろう。褒美として地獄の激戦区、『西の戦場』へご招待……だ」


//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正
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