再会
◇
「オノレ……アス、ラ……」
バタリ、とラティオ軍だった軍人さんが倒れた。
「一体、なんだってんだ……? それに、アスラだって?」
「これって、前世の因縁なの? ラティオとか言ってたけど……」
「ラティオ。前世で、アスラ達率いるセンサス軍と対立していた軍……」
「左様。先程の相手は貴様らと同じく、前世で神だった者。教団から連れて来られた者だ」
先程の戦闘を見ていたらしき、赤い軍服を着て右目に眼帯をした恰幅のいい男の人がそう答えた。
「神……?」
「神、さま……」
「まぁ、天上人と呼ぶ方が正しいがな。なんだ?あのような力を振るっておきながら知らなかったのか?」
「じゃあ、さっきの変身は前世の……神だった頃の姿ってこと?」
前世の全ての記憶を呼び起こし、前世の力を完全に取り戻した結果、“覚醒”して変身した姿があのラティオ軍の人だという。
余程の事がないとそうそう覚醒しないらしいけれど、つまりさっきの軍人さんにとってお兄と出会った事は“余程の事”だったんだ。
「じゃあ、僕にも前世の姿を取り戻すことが……覚醒することができる、ってこと?」
「無論、ここはその為の研究所だ。しかしその為にはさらに転生者と戦う必要がある。おい、次を用意しろ!こいつらは実戦で使えそうだ」
そういうと赤い軍服の男の人は奥へと歩いていってしまった。
「そ、そんな!僕、もう戦えないよ……力も、出ないよ……」
「ちょっと!死にたいの?!しっかりなさい!」
お兄の回復を待たず、次の人……敵が来てしまった。
「アスラ……貴様ぁぁぁぁあ!!」
「また、アスラ……?!」
「またひとり我が同胞を手にかけたな!許さんぞ……許さんぞぉおおおおッッ!!」
またもや元ラティオ軍が襲い掛かってくる。
もう戦う力の出ないお兄に向かって攻撃を仕掛けてきた。
「お兄っ!」
助けなきゃ。
怪我をするのを覚悟でお兄の前に立ち、大鎌を構えた。
すると、スッと私たちの前にスパーダくんが来て……
「どいてろ! ルカ、ヨハンナ! 『心に剣を持ち、誰かの楯となれ』昔、じいがよく聞かせてくれた言葉だ。ケガしないように下がってな……行くぜッ!」
そう言ったスパーダくんの後ろに、前世で見慣れたあの姿……デュランダルが見えた。
「……ッ! デュランダル!」
「!! ……貴方、だったの……!?」
心が、頭の中がザワザワする。
私の中で、何かが動き出したのを感じた。
//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正