最期の日


◇ ??? にて




「――何ですの、これは」


突然地鳴りが響いたと思えば最上階はこの有様。
大きな柱は崩れ、台座からは×××も無くなっている。
代わりにあるのは、愛しき者達の無惨な姿。
目の前で起きている事が理解出来ない。

どうして、こんな事に……?



「し、しっかりなさって……!」


咄嗟に癒しの術をかける。
だが相手からの反応は無い。
……そう、すでに死んでいるのだ。


「そんな……っ!?嘘……?!」


あまりに受け入れ難い事態が起きているが故に足元がふらつく。

ごめんなさい、お父様……わたしはどちらも救ってあげることが出来ませんでしたわ……。
このお城ももう幾らも持たないでしょう……。
だとすれば、わたしはもうすぐ死ぬのでしょうね。
ならば最期に一つだけ、願いを叶えて……。
来世こそ……来世こそ、どちらも守って見せますわ。
なのでどうか、わたしをお二方のお側に転生させて下さいませ………。


「わ……っ!?」


先程からの地鳴りでわたしが立っていた地面が崩れ落ちて、わたしも共に落ちた。
あぁ…もうダメだ。
本来(うさぎ)の姿に戻り、わたしはそっと目を閉じた。


「来世で、会いましょう……」


//2019.05.01
//2019.05.01 加筆修正
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