彼の神秘的な姿に惹かれてしまった。
失礼なのかもしれないが、女性的な美しさと儚さを持っている。
私はそんな男性がとてもタイプなのだ。
この間、旅の途中なのにも関わらずに思わず告白してしまった。
「コンウェイ、」
「うん?どうしたんだい、ナマエ?」
「すき」
「…え?」
「すきなの、コンウェイ。仲間としてじゃなく、異性として」
でも、
「………」
コンウェイは黙り込んでしまった。
「…コンウェイ?」
「ボクはナマエが思ってるような人じゃないと思うよ……」
そう言うとコンウェイは私に背を向け歩いていってしまった。
…そう、私はふられたのだ。
それから数日経ち、コンウェイと一言も言葉を交わさずに今に至る。
そして今日は運が悪かったようで、スパーダが作ったくじ引きで夕飯の買い出しと料理班に私とコンウェイが選ばれた。
何とも気まずい雰囲気で買い出しが進んでゆく。
ちなみにここでも言葉は交わさず、沈黙が続く。
(荷物はさり気なく全てコンウェイが持ってくれている。)
やがて買い出しが終わり、宿屋へ向かって歩いていると
「ボク、少し寄る所があるから先に帰っていていいよ」
なんとコンウェイからその沈黙を破ってきた。
「あっ、荷物は……」
私が持って帰るよ、と言おうとしたのだが、
どういう訳か
「ああ、じゃあ…少しここで待っていてくれるかい?」
と言い残して、近くのベンチに荷物を置き、どこかのお店へ向かっていってしまった。
私は荷物の置いてあるベンチに座り、コンウェイの事だから、本屋だろうか?とか、どんな本を買っているのだろうか?などと脳内会議を開いていた。
数十分は経っただろうか。
少し冷えてきたし、そろそろ帰ってきてもいいんじゃないか…?と思っていたところでタイミング良く「待たせたね」とコンウェイが帰ってきた。
手には何も持っていない。気に入った本が無かったのだろうか?
「じゃあ、行こうか。皆待ってるしね」
「うん、」
私はベンチから立ち上がり、荷物に手を伸ばす。
すると、ぱしっとコンウェイに手を取られた。
「ねえナマエ」
「え、な…何?」
「ボク、この間キミに酷い事を言った…」
申し訳なさそうな顔でコンウェイは私を見つめてきた。
「ううん、もう大丈夫…だよ?」
コンウェイらしくない喋り方にクエスチョンマークを浮かべながら返答する。
「その…あれは、ナマエが本当のボクを知ったら離れてしまうんじゃないかとか思ってて……それで、あの、ナマエ?」
「うん?」
「もし、まだボクの事を想ってくれていたら…ボクの手を握って欲しい」
そう言い、コンウェイは目を閉じてスッと左手を差し出した。
「そんなの、決まってる…」
私は迷わずコンウェイの左手を両手で握った。
すると、グイッと手を引っ張られ、私はコンウェイに包まれる形になった。
「ふふ、キミならそう言ってくれると思ってたよ」
ぎゅっと力を込めつつも優しく抱きしめてくれた。
「…好きよ、コンウェイ」
「キミは最初の時もそう言ってくれたね」
「ボクの方が好きさ」と言い、私たちの影は1つに重なった。
//2019.05.02
//2021.10.30 加筆修正