慈愛に満ちて


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こんな、こんなはずではなかったのだ。



事の始まりは、私が本社で打ち合わせをしていた日の帰り。


だいぶ遅くなってしまった帰りに、もう今日はコンビニのご飯でいいや、とコンビニに寄りそのまま帰るため駅まで向かった事。

遅くなってしまった。
まだ電車が走る時間とはいえ、外は暗かったし、早く帰りたかった。

いつもより少し早足で駅まで歩き、プラットホームに行くとちょうど電車が
出ていってしまったところだった。

『え、ええまじかあ……』


もう今日は疲れていたし、一刻も早く帰りたかった……と思いながらホームにある椅子に座ろうとした時、一人の男性がいることに気づいた。


髪色が派手で、なんか、キラキラした服を着ている。あんまり関わることの無い人種。

そしてなにより、真っ青な顔。

今にも吐きそうという顔だった。



私は迷った。ここで声をかけるべきか、否か。しかし、迷っている間にも男性はもっと顔色が悪くなり、青を通り越して白になりそうだった。


やっぱり声を掛けよう、そう思った。怖い人で、なにかに巻き込まれても駅員さんのところまで走ればいい。


『あ、あの、顔真っ青ですけど、大丈夫ですか』

「、ゔ」

『全然平気じゃないですね……な、なんか、水とかいりますか?』

「…………吐き、そう」

『どえ、わっ、ちょ、ちょっと待ってください』

吐きそうと言われ焦った私は、コンビニで買ったご飯を自分の持っている鞄に入れ替え袋を空にして渡すことにした。


『と、とりあえず持っててください』

多分本人と同じくらい焦っていた私は渡してカバンを置き、すぐ横にある駅ホーム内の自販機で水を買って走って戻る。

『お水です、平気ですか……?』


平気なわけないが、私にはほかの言葉が思いつかなかった。


「……す、みま、せ」

『謝んなくていいですよ、私が勝手に、動いたんですし』

「ぁ、見ん、な、」

『!』

「……ゔ、お゙ぇ、、」



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