慈愛に満ちて


最終話-1








今日もまた本社に来ている。最近は数日後に控えた新人デビューで、社員さんが忙しそうに走り回っているのをよく見かける。


そう言えば、今回はどんな子がデビューするのか全く情報を入れていない。公式にももう名前や顔は出ているだろうから、後でチェックしようなんて思っていた。




「澄晴さんすみません、新人の子、見かけませんでしたか?」


『あ、私今回の新人さんまだ確認してなくて……、多分、新人さんらしい方は見ていないと思います』


「そうですか、すみません、どこいったんだろうな…」



スタッフさんに話しかけられたと思ったら、新人さんの居場所を聞かれた。どこに行ったんだろう、と言っていたから、1度は合流しているのだろう。迷子にでもなってしまったのだろうか。

ぴろん。


その時、私のスマホの通知音が鳴った。確認すると、湊くんからの連絡だった。




「〇〇ちゃん、今どこにいる?」


『今は会社にいるよ、どうしたの?』


「なんでもない!急な連絡ごめんねぇ」

『ううん』





『……?、どうしたんだろう。あ、てか私湊くんに結局ライバーやってるって言うの忘れてるじゃん!』



そうだ、うっかり忘れていた。今度あった時にまた伝えよう。そう思った。



『まだ、余裕あるな……』


私は担当のマネージャーさんが来る時間になるまで、ひと休みしようと自販機に飲み物を買いに、部屋を出た。

社員さんも誰一人として人がいない廊下に、「みんな忙しいのかなあ」なんて、考えていたところ。瞬間、



「んは、見つけた!」


『………………え?』




時が止まった。



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