慈愛に満ちて


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「……澄晴さん、勘違いしてませんか?別にいい方向に変わったからと言っても、前が悪かったことにはならないですよ。」

もう変わった以上、前の澄晴さんはいい方向にも悪い方方向にも進まないんですよ。

『え、』

「なんですか、今気づいたみたいな。そりゃそうでしょう、貴方はもう進んだんですよ。完璧に違う訳じゃなくったって、変わってるんでしょう?でも、昔の貴方も十分「良い人」でしたよ。」

普通に他のライバーさんからも好かれているような人ですよ、貴方は。と続けて剣持先輩が言った。




『…………そ、そう、なん、だ……』

「そうですよ。」


確かに、私は今の私の方がいいと思っているけれど、無意識の間に昔の自分を前より下げていたのか。全然、気づかなかった。


『……全然、気づいてませんでした。ありがとうございます。……また剣持先輩に、ひとつ気付かされたことが増えました。』


「自分を守る為に自分を傷つけても意味ないですからね。……どうですか?その意識を変えた上で」


なにか変わる思考、あります?と聞いてくる剣持先輩に、私は頷く。


『……はい、だいぶ変わると、思います。この後また、ゆっくり考えて見ます。本当に、ありがとうございました。』


「いえ。……別に誘いにくいなら僕でもいいんですよコラボ。」


『いえ、最初の2人コラボは女の人の方がいいかなって……すみません』


「なんで僕が振られたみたいになってるんですか????気遣いなんですけど???」



また恥ずかしい人じゃないかと怒り出す剣持先輩に、笑いがこぼれた。


『ふ、ふふ、……でも、剣持先輩とも、ちゃんと仲良くなって、コラボしたいです。』


「……まあ今仲が良くない訳じゃないですけど。……そうですね、澄晴さんからのお誘い待ってます。きっと僕からだと意味が無いから。では、そろそろ僕は行きますね。では、また。」

『はい。度々、ありがとうございました』



座っていた椅子を綺麗に閉まって、剣持先輩は部屋を出ていった。本当に、彼にも助けられてばかりだ。いつかちゃんとしたお礼と、コラボがしたい。







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