初任務










眠れない…明日の任務の緊張からなのか、目を閉じると不安でいっぱいになってしまう。ギャレットは私を安心させようとしているのか、ずっとピッタリくっついて今は気持ち良さそうに眠っている


『AKUMA…か…』

そもそもAKUMAは何故産まれたのか
何故人をそこまで殺そうとするのか
あの人も…

アデラはあの夜、両親によって会わされた男を思い出していた。だが、確かに会ったし、名前だって聞いた筈なのに…思い出せない。一体何者だったのか…


『何も…分からない…』








◇◇◇ ◇◇◇









『あッ…あの、これ短くないですか?』

結局一睡も出来ないまま、朝になった。元々眠りは浅いし、安心して寝れた事はないから平気ではあるのだけど…朝一にリナリーさんが部屋に訪ねてきた

かと思えば、科学班の方々が私の為に団服を作ってくれたそうで、リナリーさんがわざわざ持ってきてくれた。それで、早速着てみて今に至る



「アデラも私と同じで近距離系のイノセンスだから、短いズボンの方が動きやすいだろうって」

皆と同じ赤黒の団服。だけど、デザインが半ズボンで、腕の裾が少しばかり大きめに作られている。尋ねると戦っている時に袖が舞ってカッコいいだろう、という科学班の方々の趣味だそうだ

今までこんな服装を着た事がなかった為、何と言うか…恥ずかしい


「似合ってるわよ?」
『ありがとう…ございます』

リナリーさんは何故か楽しそうに笑っている。私はあまり腑に落ちないでいたが、手を引かれるままに皆が待つ大広間へ









「アデラとリナリーが来たさ」
「あれ、何でアデラはリナリーの後ろに隠れているんです?」

「ほらほら、みんな見たがってるよ?」
『めッ…目に毒です!』

そんな事ないってば、とリナリーさんが勢いよく私を3人の目の前に突き出したモノだから、慌てて顔を伏せた
視線が痛い程感じる…



「うんうん、良く似合ってますよ」
「科学班も良い趣味してるさねェ」

ラビさんが必要以上にマジマジと見てきて、慌ててリナリーさんの後ろにまた隠れた



「そのニーハイがまた良いさねェ」
『あ、あまり見ないで下さい…!』

「そうやって恥ずかしがる顔もまた良ッ…Σうげッ!」
「だから何でラビはそう女性が困る様な事ばかり!」

アレンさんがラビさんのマフラーを後ろから勢いよく引っ張って、私との距離を離れさせた。ラビさんの顔色がみるみる青くなっていく




「お、俺ちょッ…!任務前に死ぬさ…!絞まってる絞まってるッ!」
「このまま落として、此処に置いていきましょうか」
「そちらの方が無難かもしれませんね」
「またそのクダりかよぉおお!?」






『フッ…』

突然笑いを吹き出す様な小さな声にその場の視線がアデラに集まった。口元に手を当てて笑っている。それに4人は驚いた表情をした。が、伝染する様にリナリーやラビ、アレンが微笑んだ




『皆さん、緊張をほぐして下さってありがとうございます』

「いやぁ、僕は本当に落とそうとッ…」
「良い風に捕らえてくれてんだからそこは肯定しろさ!」
「いつもこんな感じだものね」

アデラが微笑んだのに、皆安堵した。AKUMAに対するトラウマからの恐怖心が少しだが和らいだのなら良かったと…

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