買い出し









『買い出し?』

「あぁ」
「オヤジの指示だってよ」

『他に行く奴いねぇの?』

首を傾げるクロムに2人は苦笑して言った




「わりぃな。俺はこれからの船の進路をまとめねェといけないんだよぃ」

『何だよ、そこまで進路に詰まってんのか?』

「この先の目的地は結構渦潮とかが多いんだよぃ。だから、最低限渦潮を回避出来るルートを模索する」

『ふーん。大変だな、1番隊ってのも』

「ま、そういう事だよぃ」

『サッチは?』

「行きてェのはやまやまなんだがな。今日オヤジの検査の日だろ?付き添わねェといけねェんだ」

『あれ、そうだったか?』

「お前に至ってはナースを見てェだけだろぃ」
「ハハハ、バレたか?」

『変態かよ。あ、わりぃ。前からだ』
「Σ平気な顔でひでェ事言うなよ!俺今すげェ心砕け散ったんだけど!」


「ハァ…サッチの事はほっといて、エースはどうだ?誘ってみれば良いよぃ」

『今の時間に表に出てきてないって事は寝てんだろ』

「どうせ暇だろぃ」
『暇だから寝てんだろ』

「あー…確かに」

「クラウスはどうだよ?」
『朝っぱらから和気藹々と零番隊の奴らと騒いでる』

「連れていきゃあ良いじゃねェか」

『何か楽しそうな仲を邪魔しちまうみたいで可哀想に思えて…』
「Σおかんか、お前はッ!」

浅くため息を吐きつつ、クロムは微笑んだ




『まぁ、たまには1人でもいいか』

「お、乗る気になったな」
「助かるよぃ」

マルコはホッとした様に笑い、買い出しの紙と費用を手渡した。クロムは1度伸びをして、近くにいた隊員に声を掛け、ストライカーを用意する様に頼んだ




『しっかし、あちぃな。今日は』

「確かにな」

『もういいや。サッチ、あたしの上着よろしくー』
「Σなッ!ちょちょ、待て待て!」

クロムの鬱陶しそうに着ていた上着を脱ぎ、サッチに投げ渡した。普段より露出度が高いノースリーブ姿。薄い生地で出来ている為か、胸の膨らみが強調されている

サッチやマルコはその服装に思わず、苦笑した




『何だよ、変か?』
「いや、変とかじゃねェけど…何か露出度高くねェか?」

『いいじゃねぇかよ、別に。今日はいつもよりあちぃんだからさ』

「あー、絶対自覚してねェよぃ」

『自覚?』

「襲われる自覚」
『それはない』

クロムは心底面倒くさそうに言い捨てた




『そんな心配すんなって。もしそんな奴来たら、丸焦げにしてくっからさ』

「そういう問題じゃねッ…」
「隊長!ストライカーの準備出来ましたよぉ!」
『おぉ、サンキューなぁ! じゃあ、あたし行ってくるわ』

片手を挙げて2人に笑い掛けたクロムは、船の下で浮かんでいる愛用のストライカーに飛び乗り、数キロ離れた島に向かった




「あーぁ、行っちまったな」
「襲われて丸焦げにする暇がありゃあ良いんだがねぃ」

「俺こっそり行った方が良いか?」
「見つかったら、お前が丸焦げになるよぃ。只でさえクロムは女扱いを好まないんだからな」

「ハァ…」








◇◇◇ ◇◇◇








『おぉ、結構賑わってんのな』

島に着き、暫く歩くと市場らしき人が賑わっている所を見つけ、とりあえず買い出しを始めた。市場を歩くと、通り過ぎる人や店の店員は周りの人間より目立つ出で立ちのクロムに思わず振り向いた


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