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いつもの道を歩いていく。

綺麗に咲いていた花を着飾った家を通り、フレンチブルドッグが飼われている家にでる。

門の塀に佇みアイツを眺める。


飼われている憐れな犬はこちらを睨み羨ましそうに叫びをあげる。

本当に愉快で憐れなアイツである。


暫くそうしてアイツを眺めていたが、近くに大きな塊が通っていく。

大きな塊はすれ違った時に何かを落としていった。白い短い棒のようだ。


火と葉のにおいが鼻につく。

見覚えのあるそれを口にくわえ意気揚々に歩き出す。



また、道なき道をゆく。

見えてくるのは、大きな洋館である。




「おや?今日も来たんですか?」

そう声をかけたのは、細めに眼鏡をかけた、高身長の男だ。

男に白い棒を差し出す。


すると男は喉を鳴らしながら、武骨な手で頭を撫でて来た。




「私がタバコを吸っているのをみて、持って来てくれたんですね。」


武骨な手は、温かく気持ちがいい。

男は撫でる手を止めて、両手を広げる。


そんな男に身を預ける。意外に、この手の中は居心地がいいのだ。


男と共に洋館の中へ入る。

部屋につくと男は瓶といわれる物をとりだし、中身を別の入れ物に注いでいく。


中が気になり顔を近づける。



「お前のはこっちだ。」



男は入れ物を目の前に出す。

入れ物に近づき中身をみる。どうやら水のようだ。



水を口につけて飲むと男が頭を大きな掌で撫でる。

男の手つきは優しい。



ふいにかおる煙。

苦味のあるにおいをうまそうに味わっている。


そして、溜めた息を吐くように煙を吐いていく。鼻につく匂いに目を細める。



「お前には、嫌なにおいだったか」



そんなことを言いながら男は止める気はないようであった。


男の言葉を聞きながら、膝にのる。

温かいぬくもりが鼻につくにおいと共に降ってくる。



しばしば身を預けそれを受け入れた。










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