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美術館での一件以降、蘭やコナンの様子を遠目から確認するのみにし、直接的な接触を優は避けていた。



あのあと、カップル二人とは別れを告げたわけだが、事件の帰り道優が語らずとも、変化を感じ取ったらしく

「無理しないでくださいね、」


「あの子、気をつけなさいよ」


康一、由花子それぞれから一言もらったのだった。


優はもう一度彼らの調査をし直し、
それによって確実に白の人物であると断定できるまでは深入りするのをやめると決めた。


少し関わっただけでも、感じられた彼らの優しさが後々、優の首を絞めることがないように・・・


しかし、自身が調べようにも、そもそもそういった分野が得意なわけではないのでお手上げだった。
財団の情報収集力でどうにかしようにも、承太郎に連絡がつかなかった。



一向に折り返しがないことからも、向こうで立て込んでいることは予想がついたために、

優は頼みの綱が切れた状況だった。



そもそも、彼らの周囲に異常がないか探っていた時も、手がかりがなくお手上げだったから気分転換にと、康一と由花子に会っていたというのに。



殺人事件が起き、コナンに対し抱いていた疑念がより大きなものになってしまい、
優にとってリフレッシュどころではなかった。



今度こそ、リフレッシュしよう。
特に当てもなく歩き、行き着いたのは米花公園だった。


気晴らしにはちょうど良いかと思い、優はベンチに腰掛け、ふっと息をつく。
都会の喧騒の中にある静寂の空間は憩いの場として最適といえる


肩の力が抜け、改めて疲労を感じるのだった。

もちろんそれは体力的な面ではなく、精神的面で。


先日の一件で、久々の日本、初めての単独任務

これらに無意識にでも浮かれていたことを自覚させられた




事実、日本といってもほぼ知らない土地であり、

敵かどうかも分からないターゲットに未だ対処に考えあぐねているのだ



優自身が日本に向かうことを承太郎に申し出たのだから、その責任はしっかり最後まで果たしたい・・・
自分にも出来ることがある、そう思うが故の行動だったからこそ、まだ何の役にも立てていないままには出来ないのだ。



けれど、
優が出来ることの限界が、なさけなさや孤独感をさらに浮き彫りにしていった。




どうにもならない現状と、どうにかしたいと焦る気持ちによって生じる摩擦がじわじわと優の精神を蝕んでいた

はっ、として優はマイナスの思考を消し去る。



リフレッシュしようにも、黙っていると自然と思考はそちらに流れてしまう



静寂に包まれていた空間に、いくつかのあどけない声が楽しさの色を含んで響いた。
優がそちらを見ると、ボール遊びをしている子どもたちが目に入った。




きゃいきゃいとした会話や、笑みからなどから彼らの仲の良さが窺える。





生まれつきのスタンド使いであった優にとっては仗助と出会うまでの幼い記憶には、そういった思いではあまりない


しかし

子ども達の無邪気な笑顔は優のリフレッシュの手助けとなった





ボールが大きく跳ねて、子どもたちの輪を越えて公園の外へと転がった


夢中になって駆け出していくひとりの男の子。






「クリスタル・マイヤーズ、」

嫌な予感がした優は、自身のスタンドを出現させる。



攻撃力はほぼ皆無だが、空間移動はお手の物。





視界の範囲であれば移動に条件はない。先を走る男の子の元へ移動する





そこには既に接近した一台の白い車。




「ひっ、」
ボールを手にした男の子が漸く事態に気付く。




けたたましい音を上げて車のブレーキがかかる。
手から零れ落ちたボールは、車によって撥ねられ飛んでゆく



しかし、
そこには優も、男の子も居ない。


衝突の直前優は子どもを抱きよせ、再度スタンド能力を発動させた

瞬時に歩道へと移動した優と男の子は事故を免れたのだった。





「ぼく、大丈夫?」

優が腕の中に居る子に問うと、大きな瞳をこれでもかと見開いたままに頷き、


「う、うわぁぁぁあああん!!!」



先ほどの恐怖を思い出したのか、大粒の涙を流しながら友達の元へとかけていってしまった





「ふぅ・・・」

ベンチに居た優が急に消えたと思ったら男の子と歩道に現れた、そう見えたかもしれない・・・。

スタンド使いではない一般人にはできるだけ怪しまれないように、普段は工夫を凝らしているが、今回はその余裕がなかった。
冷静であるよう心がけ、能力発動に集中力を注いだだけであり優本人も冷や汗がじんわり滲んでいた。



スタープラチナのように時を止められないのだから当然といえば当然だ。
クリスタル・マイヤーズで移動しても救えない可能性や、もっと言えば巻き込まれる可能性は充分にあったのだから。





「あの、大丈夫ですかっ!?」


運転手の女性が降りてきて優に声をかけた。

怪我は、と問う彼女に対して無傷であることを答えるとほっと肩をなでおろし、


「危ない目にあわせてすみませんでした・・・。あの、もし良かったらお詫びをさせてください!」


困ったように優に笑いかけるのだった。
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