トーハクにて





−201X年 2月の上旬


私、瀬良碧乃は

通っている高校が受験で休みだ!ウェーイ!

とテンションが上がって、私は久しぶりにトーハクへ行こうと決めた。最後に行ったのは何時だったっけ……。確か、小六の時だから……5年前か!なんて自分の行ってなかった年数に驚きながら、私は上野公園を抜けて東京国立博物館の門を潜った。








まずは、順路の通りに二階から。

二階には日本の美術史の展示が多くて、あの長屋王の納めた大般若経や聖武天皇の書簡、一休宗純の書などの歴史的な書物から、江戸時代の着物まで、本当に様々なものがあって見所ばかりだった。武士の装いコーナーには刀剣や平安時代の甲冑なんかの展示もあって、何処もかしこも面白い。

トーハクってこんなに面白いところだったっけ、とルンルンした気分のまま、私は順路通りに一階の展示室へと階段を降りて行った。






本館の大きなエントランスのすぐ近くから始まる一階の展示室には仏像がずらりと並んでいて、ついつい無言で見てしまうほど壮観だった。



展示室13に入ると、まず甲冑が目に入る。

そしてその奥にあるのが、刀剣コーナーだった。私はゲームの刀剣乱舞を楽しんで(やり込んで)いるから、実はちょっとここに来るのが楽しみでワクワクしていたのだ。


とはいえ、まあ、事前にチェックしてくる程ではなかったから、今日何が展示されているのかは知らない。まず最初に見た外側に展示されている四振りの中に、正秀の弟子だという刀工の作があって興奮した。やっぱり曲線麗らかで見惚れるような濤瀾に、他にはどんな刀剣がいるのだろうかと期待で胸がふくらんだ。