1年ず歓迎会


「てなわけで新しい1年も加わったことだし、やるでしょ?歓迎会」
「いや、しないです。もう入学して1週間経ってるし、今更感が凄いからしないです」

これから体術の授業なんで退いてくださいと道を塞ぐタカアシガニになまえは顔を顰める。真面目な彼女はなんとしてでも予鈴前にグラウンドに向かいたい。しかし五条は「えーなんで?悠仁の時はちゃんとやったよ?親睦会」と分厚いステーキの写真をスマホに表示させなまえの時間を浪費させる。人の自慢話ほどストレスを感じる会話はない。態度も言葉も会話の内容も、この人はストレス製造マシーンか何かなのか?早く摩耗して壊れて欲しい。

「先生、時と場合を考えてください。表向きには虎杖君死んでいるんですよ。お通夜ムードの同級生と仲良く歓迎会は厳しいと思います。あと歓迎会はもう家入先生と伊地知さんにしてもらったので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

和食食べました、美味しかったですと事後報告し、さぁ授業授業となまえは五条の真横を通り過ぎようとした。けれど「えー??でももう僕お店予約しちゃったし。恵達にも話つけちゃったんだよね〜」と歓迎される本人を抜いて行われていた会話に目を丸くした。「え、聞いてないんですけど」の言葉に「え、そりゃそうだよ。言ってなかったし」の返し言葉。まるでのれんを殴っているような会話になまえはグッと拳を握りしめ感情を抑える。こんなちゃらんぽらんな人が担任か……こんな大人にはなりたくない。

「てなわけで、放課後楽しみにしてな!」
「人の話聞いてください!あと勝手に決めないで…って、もういないし」

面倒だ。虎杖くん抜きでどう見ても癖しかない人達と食事会なんて……しかも場所が

「…立ち食い蕎麦屋ってどういう神経してるんですか。歓迎する気ありますか?」
「耐えろ。五条先生はこういう人だ。慣れるしかねぇよ」
「てかなんっで立ち食いそば屋なのよ!!座銀のシースーは!!?」

理不尽な教師の洗礼を受け入れたクラスメイト1、座銀のシースーを所望する高級志向なクラスメイト2。カレーにハヤシライスとシチューを入れてかき混ぜたような面子になまえは全てを中和する陽キャ虎杖をこれ程欲したことは無かったと後に語っている。
早く虎杖くん復活しないかなぁ。んじゃ次は締めのデザート行ってみようか!と妙にハイテンションな大人を視界から追い出すように、なまえはパリピな音楽に乗せ高収入を謳う大型トラックをじーっと見つめていた。



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