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『レオニー!見て見て!どう?似合う?これで私も金鹿の級長(ふふんっ)』
「おお〜よく似合ってるじゃん。クロードから借りてきたのか?」
『ううん。歩いてたら飛んできて拾ったの。本人に返そうと思って探してるんだけど見当たらないし、級長の外套って拾うこともなければ選ばれた人しか羽織れないでしょう?せっかく拾ったからちょっとぐらい羽織ってもバチは当たらないかなーって。どう?レオニーも羽織ってみる?』
「わたしは遠慮しとくよ。それよりも早く返しに行ったほうがいいんじゃないか?確かもうすぐ級長会議が始まる刻だろ?」
『そういえば…でもクロードが何処にいるのか分からないし、あとこれ羽織ってると少しの間だけ“私は金鹿の生徒です!”って気分になるからもう少し羽織っていたいというか…。だって、自学級の級長に外套貸してくださいなんて頼んだ日にはヒューベルトに消し炭にされちゃうだろうし。こんな美味しい機会楽しまないとねっ?ねっ?』
「いや、ねっ?て言われても。相手はクロードだしなぁ…おっ、いいところに。おーいクロード!!もしかして外套探してるのか?」
「よぉレオニー、ナマエ。お察しの通り外套が風に飛ばされちまってさ。水に濡れて自室に干して、気づいたら遠くにふわりふわりと。セテスさんに見つかって怒鳴られる前に見つけなければと大修道院中を探し回っていたところだったんだが…なるほど。そんなところにあったのか」
『待ってクロード。誤解を生んでる可能性もあるから先に言っとくけど外套はちゃんと返そうと思ってたしレオニーに出会う前はクロードをずっと探し回ってたんだよ。でも、ほら…興味本位と言いますか、抑えられない好奇心が爆発したと言いますか。級長の外套羽織ってみたいという小さな憧れがあって…クロードなら分かってくれるよね!?』
「…ああ。分かるぞ。お前の気持ちはよ〜く分かる。憧れ、好奇心、思わず行動に移してしまった。そういうことだろ?」
『クロード!さすが好奇心と猜疑心の塊!!水に濡れてたって言ってたけど私が拾った時には乾いてたから制服が濡れる心配はないと思うよ。あれっ、これどうやってとるんだっけ?』
「無理にとる必要は無いぜ。別に外套がなくてもちょいとばかしお小言は言われそうだが会議には参加できるし。それよりもだ。ナマエ、お前さっき級長に憧れてるって言ってなかったか?いや、言ってたよな!」
『級長に憧れと言うか、級長の外套に憧れがあるだけで学級を纏めようなんて気はサラサラなっ「おおっと皆まで言うな。俺にはお前の気持ちがよーーーくわかる。そうだな、このまま人の憧れを奪うのも忍びない、いや!俺にそんなことは出来ない!!と、いうわけだナマエ。級長特権で今日一日はあんたを金鹿の級長に任命する!!」
『私が…金鹿の級長?』
「そうだ、あんたが級長だ。今日一日気が済むまで外套を翻して歩くといい!」
『本当に!?ありがとうクロード!!とても嬉しいわ!』
「喜んでもらえて何より。外套は寝る前には必ず返しに来てくれよ?んじゃこれが今日一日の仕事内容を書き記した手帳な。会議内容はそれに全部書き記してくれ。それじゃっ!」

『…レオニー』
「わたしはこれから槍の稽古だから。大変だとは思うけど一日級長、わたしは応援してるからなっ!」


「それでは時間通り、級長会議をはじめたいところだけど、何故貴方がここに?」
「お前は確か黒鷲の生徒だった気がするが。金鹿に移籍したのか?」
『…クロードに嵌められました』
黄色のマントが飛んできた
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