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「ねぇ、エイナム」
「…なに?」
「いや、なに、じゃなくてさ、
私説明しなきゃいけないんだけど」
「すればいい」
このままでは埒が明かない。
 
話を戻すと午前中。
アルファ様に今日から行う“サッカー”の練習の説明を頼まれた。
まぁ、理由は簡単で
全員が言うことをきくメンバー内唯一の存在、だからだ。
生憎私はサッカーというものはよく知らないから、調べていた。
「ミライ、何してるんだ?」
エイナムが来て問うてきたのでそこまでの経緯を話す。
そうするとエイナムはふーん、と興味無さげにするから、
それで終わりだと思った。
が、その場を離れる様子がなく、
それどころか、
人が調べものしている横に座ってきた。
私が用事を済ませ席を立てば、
エイナムも席を立ち私と歩こうとする。
それが今も続いているのだ。
 
 
もうみんなが集まってしまった。
アルファ様を慕う隊ってことにしておき、
いっそそのままにしようと思う。
「全員集まったね?
これから1つの手段としてサッカーの練習を行います。」
時々視線が私の真横に立って動かないエイナムに行くメンバーもいるが、
説明の妨げという訳ではないため、
このまま進めよう。
 
 
説明が終わればもうやってみるしかない。
アルファ様とベータちゃん、ガンマ様の3人間での連携は悪いが…
他はなんとかなりそうだ。
サッカーは11人でやるものだから、
3人を一緒にする必要もないしね。
「ミライ、」
「はい、何でしょうアルファ様」
「先程からエイナムの姿が見えないんだが、
知らないか?」
…何故私に訊くのでしょうか?
「先程までエイナムといただろう?」
言う前に言われた。
「…エイナムと何があった?」
何“か”あったじゃなく、
何“が”あったということは確信があって話しているのだろう。
昨日アルファ様につけられた跡はまだはっきりと残っている。
 
 
所有物である証。

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