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「あれ、ミライの方が先に来るなんて予想してなかったな…
……来たね。」
SARUの来たねで振り返るとフェイ・ルーンが歩み寄って来ている。
「…ミライ!?」
「…?」
私は何故彼に呼ばれた?
「ミライは記憶を無くしてるみたいだ」
「えっ、それってどういう」
フェイの話は聞かずに、
SARUは私の脳天に手をかざしている。
何をしようって……?!
「思い出したかい?」
私の頭の中を突如にして駆け回る記憶。
私はセカンドステージチルドレンで、
フェーダにいた。
私だけはサリューと呼び続けた。
私を何度もつれ出そうとしてくれたフェイ。
指切り。
私は、フェーダのメンバー。
「ゆっくりおやすみ」
サリューの声が聞こえて直ぐに、
意識がとおのくのを感じた。
 
 
まだ記憶は完全じゃない気がしたが、
暗くなる視界に逆らうことはできなかった。
 
 
サリューの笑う顔と、
フェイの心配そうな顔だけはしっかりと目に焼きついた。
 
私が今思うのは誰の顔

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