ゆるやかな箱庭


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※創作審神者との小話や日常の雑談など、色んな事を書いてます。
※お借りした場合も此方に記載致します。
08/12

◎幸せを感じたい@(大さに)

※審神者の名前が出ております。
※なんでも許せる人のみどうぞ。
『オキシトシンの“幸せホルモン”の分泌?』




  全く聞きなれない言葉に頭上にハテナマークを浮かべる審神者がいる本丸は、備前国の鳴雲本丸にございます。隠居を決め込んでるボンクラ兄貴からメールが届いたのでした。元々は備前国の真の審神者は、彼女の兄『颯凪(さなぎ)』の筈だったのです。ただ数年前にとある失態を犯し、審神者の任を退いていた妹の代役をしていた兄でしたが「兄ちゃん、ちょっとバカンスで休暇取るからさ、後は全てお前に任せる」と再び
審神者に返り咲くことになりました。


『兄ちゃんからの指令は面倒なんじゃけど…』


致し方ないとメールを読み進めると“幸せホルモン”という単語が目にとまります。
幸せホルモンとは、脳内ホルモンの分泌の中で、心と体に心地良さを感じることをいうらしいのです。
他にもイライラを抑える安心ホルモンのセロトニンや快感ホルモンのドーパミンの例が書かれてありました。


問題のオキシトシンは、スキンシップといった人と人との親密なコミュニケーションで分泌されると書かれています
。つまり、もっとコミュニケーションをとれ、という兄からの妹への心配からなのか、汀はこのメールを速攻削除したい気持ちなったのは内緒です。





チリンチリンッ

「主、今いいか?」
『あれ?鶯丸がこっちにくるなんて珍しいね。どうしたん?』
「第一部隊より大包平が来たとの報告があった。よければ、迎えに行ってやってもらえないだろうか?」
『悲願の大包平が!?
大変じゃがんっっ!!急いで行かんと!!』
「ああ、まずは主に報告してからと思ってな。行こう、主」





唸っている汀に声をかけたのは、古備前の刀である鶯丸でございました。
審神者の部屋には入口に鈴があり、入室する前に鳴らすのがルールです。
普段は離れの屋敷にて、茶をたしなむ事が多い鶯丸は、審神者の汀とは
会話の少ない刀剣男士の一人でありました。

鶯丸から告げられた“大包平”の名前に驚く汀に思わず笑う鶯丸。

確か、兄が何度も逃していたという報告を聞いていただけあり、悲願と呼んでいる刀だからなのですから
驚くというものです。鶯丸もずっと待っていたのだろう。
汀に伝える仕草はとても嬉しそうである。



ドドドドドッッッーー





豪快に走る走る走る急ブレーキッッ!!!!

門の前に立つと深呼吸する汀。
吸って吐いて、すってはいて。

ギィィイイ

と門の扉が開いた途端ーー

「カカカカカッ!!!主殿、今帰ったであるぞ!!」
『山伏っ!!皆、大丈夫じゃった!?』

太陽のように明るく陽気な力強い声が聴こえたようです。
汀が心から信頼を寄せる近侍の【山伏国広】にございます。




山伏の手を握り締め、怪我してないか?大丈夫なのか?と言いたそうな汀の目を見つめ、山伏はニカッと微笑み「カッカッカ!!」と豪快な声からの汀をぎゅっと抱きしめたのでした。
『主殿のいてくださる本丸に帰還出来る喜びこそ、修行の達成感よ!』と汀を包むように強く抱きしめ、再び豪快な笑顔を撒き散らして去っていったのでした。


「大将は心配性だな〜問題ないぜ!
俺と薬研の極がしっかり守りきったさ!」
『あっちゃんもよぉ頑張ったね。
ありがとう、手入れ部屋でゆっくり休みね?』



「少々苦戦はしたが、皆重傷じゃないさ。大将、ただいま」
『ヤニキがおってくれたら安心出来るわ。お疲れさま』


極の短刀勢にねぎらいの言葉をかけているとーー


「ココが本丸というのか…?」
「来たか、大包平」


ふと後ろの方から赤い人物みえるようです。
岩融、太郎太刀、石切丸が並んでいたもので、よくはみえなかったものの、鶯丸は彼に反応したのでした。


『貴方が大包平なん?』
「ああ。天下五剣にはなりそこねたが、池田輝政が見出した、最も美しい刀剣とは、俺の事だッ!」
『え?何か、態度がNGなんじゃけど...』
「なんだとッ!?」


何故か仁王立ちして偉そうな彼をみて、げんなりとした表情を浮かべる汀。第一印象は最悪ではありましたが、こんな二人でも幸せを感じる事があるのでしょうか?


つづく




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