12月の終わりを告げるカウントダウンが、窓の向こうから聞こえてくる。
二年が過ぎた。
ソルベとジェラートは死なず、他の暗殺者たちも全員生きている。
まさか、本当に乗り切ったのだろうか。
ぬか喜びは身を滅ぼすと自分に言い聞かせながらも、カレンダーを見つめる自分自身が高揚しているのを感じている。

「こんなに、簡単なこと、なの……?」

今年、たしか春頃にジョルノ・ジョヴァーナが動き始めるはずだ。
そこからは早い。
高々1週間やそこらで決着がつく。
ごくりと、生唾を飲み込んだ。
あのデブ、もといポルポが刑務所に入る際、いや、入ってからも資金援助をしているのは私だ。
パッショーネの武力を笠に着る代わりとかなんだか適当な理由をつけて援助を申し出たのは、諦めきれぬ彼らの生存のためだ。
きっとポルポが死ねばすぐに連絡が入る。
それから1週間、彼らを、暗殺者たちを何がなんでも引き止めればいい。
ボスに対する忠誠が厚いわけでもないだろう。
きっと、きっとうまくいく。

「は、はは、本当に、ほんとう、に?」

喜びと、恐怖がない混ぜになる。
リゾットは本当に死なないの?
もし引き止められなかったら?
ただの金づるの女に行かないでくれと泣き付かれて、彼らが千載一遇のチャンスを見逃すのか?
いや、違う、ボスへの興味はあるかもしれないが、恨む理由はないはずだ。
金も仲間も奪われてはいないのだから。
なんなら私から彼らに依頼をしたらいい。
国外の要人を殺して欲しいと。
大規模な作戦になるからメンバーを全員連れて行けと。
そう、打つ手はいくらでもあるはず。
でもそれじゃあ、ブチャラティたちは、どうなるのだろう。
暗殺チームの襲撃がないってことは、つまり、えっと、そうか、リゾットとディアボロとの戦いがなくなるのだ。
ボスが消耗しないということは、サルディニア島で死ぬのはアバッキオだけでは済まないかもしれない。
どうすればいい?
……そもそも、あそこへいく必要はない。
あの島で得るのはアバッキオが残す本当のボスの顔。
けれどそれはブチャラティたちへのミスリードでしかない。
必要なのは、ポルナレフとの接触のために警察のデータへアクセスすること。
でも、それくらいなら私にも援護することは可能だ。
大丈夫、大丈夫……。

「どうして……」

涙が止まらない。
リゾットたちの死が遠のいたからって、欲深くなってしまった。
ブチャラティたちも生きて欲しいだなんて。
私の記憶を追体験させるだけの非力なスタンドではなんの役にも立たない。
見せたところで好転などするはずもない。
リゾットたちが介入しないなら、この記憶は嘘の記憶になる。
暗殺チームが死なないというだけで喜ぶべきなのだ。
来たる春までに、彼らを遠くへ導くことだけに専念すべきなのだ。
それでも、私は。