▽ 1話



「お慶び申し上げます」

審神者には、おおよそ3パターンの種類がいる。
スタンダードなのは、養成学校で資格を取って審神者になる者、次に多いのが、縁故採用。
そして、一番少ないのが、彼女のように訳も分からず連れてこられる者。
神経質そうにカツカツと綺麗に切りそろえられた爪で机を叩く彼女は審神者名を青葉という。

「それでは、最初の刀をお選びください」
「これ」
「は、はい……山姥切国広さまでございますね。では、ご励起ください」

青葉が手をかざすと半透明な桜が舞い、金の光とともに御姿を顕現させた。
襤褸を纏う美しい御姿に自然と頭が下がる。
霊力には問題なし。

「ふーん」
「何だその目は……写しだというのが気になると?」
「いや。童貞くさい顔をしているなって」
「どっ!?な、何を申されますか!」
「手続きは終わり?」

カツカツ、と机を叩いて私どもを見る。
人攫いに近い徴兵といえど、ここまであからさまに態度が悪い者に当たるのは初めてだ。
こんな者が、果たして神たる刀剣男士の皆様方を率いるに値するのだろうか。
今後この本丸の担当となる者への引き継がれる書類に『素行難あり』と記載して立ち上がる。

「これにて初期刀の授与が完了いたしました。本丸内業務内容については式神から説明がございます。本丸外業務については後ほど担当がつきますので、通知をご確認ください」
「はいはい、さっさと休ませてよ」
「……それでは失礼いたします」

政府から支給されているこんのすけを置いて本丸から政府施設へつながるゲートをくぐった。
同席していた新米の職員がため息をつく。

「大丈夫ですかね……」
「訓練生でも縁故採用でもない、特別徴兵制度で徴兵されたということは、他に類を見ない霊力の持ち主だということだ。素養は、比べようもない」

新米は眉間にしわを寄せて口ごもった。
言いたいことは分かる。
しかし、命を削って、霊力を削って戦いに身を投じることは我々にはできないことだ。
どんなに態度が悪くても、彼女にしかできないことがあるのだ。
我々にできるのは、事細かに監査し、徴兵への怒りが刀剣男士の皆様に向かないよう適宜てこ入れをすることだけだ。


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