▽ 26話
「あ、斬られた」
両手で挟み込み、周囲を見ていた人型が真っ二つになったのを感じて目を開けた。
手の中の紙も二つに分かれている。
意趣返しにライターで燃やして、紙を灰皿に置く。
新しく紙を二つに折ってチョキチョキと人型を切った。
手をつないだ人型ができたのを確認してその結合部分をちぎり、片方に霊力を込めてボックスステップを踏ませる。
すると、もう片方もボックスステップを踏む。
よし。
「だから、それは人間業じゃない」
人型を棚にしまった私に、山姥切が言った。
「体に異変はないんだろうな?」
「ないよ。霊力も変わってないでしょ?」
「まあな」
黙したまま見ていたにっかりが灰皿の中から紙を取り上げた。
ほぼ焼き尽くされて黒焦げだが気になるのだろうか。
まじまじと見てから灰皿に紙を戻す。
「これは、教わったのかい」
「霊力を込めて動かすってのは習った。これ使って周囲を見るとかはオリジナル」
「……双子のまじないだね。元々一つであったものを二つに分け、片方の性質を共有させる」
なにそれ。
そこまで深く考えてやっていないけど。
山姥切も私と同じ顔で初耳といった様子だ。
「ふふ、面白い。君は霊力が多いというだけでは説明がつかないほど優秀だ。天賦の才だね」
「そりゃどーも。にっかりってそういう術とか詳しいの?」
「いいや、昔少し見聞きしただけだよ。僕が教えられることはないんじゃないかな」
「なーんだ」
「あまり霊力を使いすぎるな。病み上がりだろう」
うーん、と私は天井を見上げる。
煙草をくわえれば、山姥切に取り上げられて代わりに飴を放り込まれる。
こいつ、私の刀剣のくせに嫌煙家か?
いまは口寂しいだけでニコチンを摂取したかったわけではないので、大人しく飴をかみ砕く。
「一回、霊力の底を見ようかと思うんだけど」
「だめだ」
「だめだよ」
言うと思った。
飴をかみ砕きながら天井を見つめる。
それはそうだよなぁ。
逆剝け治して霊力暴走を引き起こしたあれでさえ皆ピリピリしていたし。
「一応、理由だけ聞いてやる」
「最大値を知りたい」
「その理由は」
私は片手を振って部屋に結界を張り、遮音する。
「私のダミーを作る」
「真名か」
「ん」
「そんなに必要なのか?真名は」
煙草を取って、山姥切の手から逃れながら火をつける。
「奪われたままでいいものなんてないでしょ」
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