▽ 一話

政府の人間が言った。

「では、この中から、自分の初期刀となる刀をお取りください」

五人の男が私の前で正座をしている。
この中から一人、いや一振り選び、初期刀とするのだ。
選びづらくないのかな、私だけ?
他の審神者さんはそうでもないのかな。
なんでこんな圧迫面接みたいな状況で一振り選ばなきゃいけないんだ。
そういう感じの配慮はないのかな、選びづらい。
というか。
私は五人を面紗越しに見回して、その前に置かれた刀を見た。
本体、なんだよね、これが。
で、この人の形をしているのは、付喪神で人間では無い、だったか。

「あの、じゃあ……」

正面の刀を取った。
目の前にいる男は、金色の髪に美しい青の目を持っていた。
綺麗。
布で隠しているのがもったいない。
一瞬見惚れたが我に返って、男が深く頭を下げるのを眺めた。

「……何だその目は。写しだというのが気になると?」
「よく分かんないです。よろしくお願いします」
「……ああ」

何か「こいつ大丈夫か」みたいな目で見られたけど、そんな有名なのかな。
あ、もしかして普通の審神者さんは予備知識入れてる感じ?
私はそんなことしないよ。
習うより慣れろ派だから。
政府の人が他の刀の顕現を解き、付喪神は人の形を崩して刀に戻った。

「詳細につきましては後ほど本丸にてこんのすけがご説明いたしますので。再顕現のほうを」
「はい」

私が頷くと、金髪の彼も刀に戻った。
私が顕現しなおして、契約完了となる。
一応これが審神者の最終適性試験みたいなものらしい。
刀掛けに一度置き直し、そっと触れる。

「山姥切国広だ。……よろしく頼む」

桜が舞って先程の彼が顕現した。
心なしか、顔色もいい気がする。
布は健在だが。

「見届けました。では審神者様、ご活躍、朗報、お待ちしております。ご武運を」

政府の人が扇子で机を叩くと、私たちの後ろに転移用の扉が開く。
刀掛けから本体を取った山姥切に続き、私も立ち上がって扉に向かった。


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