▽ 閑話:降谷零


アパート前に集まった野次馬の写真は、予め下知してあった通り僕に提出された。
そこに映る黒い装いの二人組に、まさかな、とは思いつつも組織の方でその姿を見たことがないためそれほど気にしていなかった。
けれど。
写真の女は昨日とは違う金髪の男を連れ歩いていたが、声をかけて分かる。
彼女らは、一般人じゃない。
長い髪は邪魔にならないように纏められ、細く引き締まった体を使う機会があるのか細身のパンツスタイル、そして目を引くのは背負われた竹刀袋。
剣道でもやるのだろうか。
彼女の妙な存在感や足運びはそのせいか?
僕と彼女の間で壁を作る金髪の青年も、黒い装いにどこか常人離れした目の鋭さだ。
末端とはいえ国のため従事する公安である白岩幸平と付き合っていたという噂の上元安奈。
そしておそらく彼女の正体を知る遊川 つゆり。
第三勢力の出現だ。
一瞬も気を抜かないまま、遊川と別れた。
しばらくは僕に監視がつく可能性もある。
本庁には戻らず、部下との接触も出来うる限り控えた方が賢明だろう。
取り出した携帯をしまい、公衆電話へと向かった。
白岩……。
錯乱し、自殺を図ろうとした男の姿を瞼に焼き付け、ゆっくりと決意の炎に薪をくべた。


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