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それは。
私が生まれ育った島は、とても小さかった。
私が生まれ育った島には、俗にいう少数民族と、動物しかいなかった。
何でこうなったのか、わからない。
私たちは静かに暮らしていた。ほのぼのと、平穏な毎日を、ささやかな幸せだけを願って暮らしていたのに。
海賊がきた。
村を荒らした。
みんなが傷つけられた。
それを私が、どうすれば良かったのか。
みんなに逃がされて、森を走り回った。この島に住む私たちでさえ、奥まで行くと迷ってしまう森。初めて来た海賊なんか、もっと迷ってしまうに違いない。
私が逃げられたのはきっと、意味があるんだ。
無力だろうと、私にはできることがある。
私にしか出来ないことがある。
だから森の奥深くの泉。住民でも知ってる人がほとんどいない穴場。そこまで逃げてきた私は、首に引っ掻けていた大きな帽子を取って、願った。
――どうか強い人のところへ。出来ればそんじょそこらの海賊なんかすぐやっつけられるような、それでいて私の頼みをすぐ引き受けてしまうお人好しな人のところがいい。あんまり利益を求めないと、もっといい。
あまり注文をつけすぎると、全く的外れな空間に飛ばされてしまうことはわかってた。でもその時私は、必死だったのだ。多少のわがままは許して欲しいところ。
帽子は一つしかない。いつも持ってる二つの内一つ。つまりは、帰るための帽子はない。
それでも、どうか――できることが、あるならば。
意を決して、帽子の中に飛び込む。
賭けでいい。可能性があるならば。
「――助けてください!」
そして飛び込んだその先。私は賭けに勝つ。
オレンジのテンガロンハットから飛び出し、全く知らない海の上。
目を丸くして驚く、半裸のお兄さんに会った。
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