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エース誕


何度めかのはっぴーにゅーいやーが、船の中をかけめぐる。


「うー…」
「なんだよ、フロート。酔ったか?」
「お酒のんでません…」

のまなくても酔うことはあるの、というサッチさんにまたうめき声で返事をして、壁にもたれる。
きもちわるい。
頭いたい。
つらぁ…。

「おまえちょっと、休んだほうがいいな」

そういって私を抱えたサッチさんに、やっぱりうめき声で返事をした。



***



「あれ、エース?」
「おー…サッチ……と、なに。フロートどうかした?」
「酒の匂いに酔ったみてェだわ」
「え。まじか」

ちょっと休めば治るだろうから、とベッドに寝かされる。
誰もいない医務室のベッドは、ひんやりしてて気持ち良かった。

でも、エースさん、なんでこんなとこにいるんだろう?
がんがん打ち付けてくる頭痛の中、ぼやあっとそんなことを考える。エースさんを見上げてれば目があって、そのままおでこのあたりに手をおかれた。
今度は、あったかい。

「おれここにいるから、サッチは戻っていいぜ」
「いやいや、いいぜ。そりゃ悪いだろ」
「いーって。おれももうちょっとここにいる気だったし。こいつの責任者はおれだし」
「…でもよ」
「サッチがいなきゃ、飯が足りなくなんだろ」

その言葉で、サッチさんは渋々と甲板に戻っていった。
ばたんと閉められた部屋は、さっきより静かで、寂しい。

「…うー…、」
「おわっ!なに泣いてんだよ!?」
「な、ないて、…ない…」
「泣いてんだろ!」

あたふたするエースさんを余所に、涙はぽたぽた溢れる。
だって。だって。
なんだか、寂しくなっちゃって、

「…泣き上戸なんだなぁ、おまえ」
「お酒のんでない…」
「いいから、黙って寝てろ」

エースさんのおおきな手が、ゆっくり頭を撫でてくれる。
それが心地よくて、頭痛も良くなった気がして。


「エースさんがここにいてくれて、良かったなぁ…」


ぴくりと一瞬手がとまって、また動きだす。

誰かにすがりたくなっちゃうときは、いつもエースさんがいてくれる気がする。
年は明けたけど、今年もきっとこんな風に、エースさんに頼っちゃうんだろうなあ。


「はやくおとなになって、おん返ししなきゃ…」
「……ばーか」


意識がぼやっとしてきたけど、その言葉は聞こえてきて。
エースさん、ひどい。


「おれだって色々考えちまうし、落ち込むし。だから今もこんなとこにいたわけで……おれもまだ子供なんだから、おまえにはもっと無理」
「ええ、えー…」
「おとなになんか、簡単になれねぇよ」


…でも。
ふて腐れた声が、言葉を繋げた。


「おまえのおん返しは、もうじゅうぶんできてるぜ。いま、ここにいるだけで」


だからはやく、げんきになれ。

ふわふわと。
上からふってくる優しい声に、
すごくすごく、安心して。
返事をして、ふにゃふにゃ笑いながら、そのまま意識を手放した。





happy birthday ACE! 
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