top about main
プレゼント(2/2)
「――じゃーん!」
「………じゃーんって、真っ暗ですよ」
「うん。知ってる」
大丈夫かこの人、と思ったのは秘密。
ハルタさんに連れて来られたのは一つの部屋。しかもただの部屋じゃなく、私の記憶じゃ誰も使ってないけど広い部屋。多分ストックというか、予備か何かなのかなと認知してた。
その部屋の扉を開けて入ったはいいけど、中は真っ暗。明かりは一切ない。そんなところでじゃーん!とか言われても何もわかるわけがない。ハルタさんごめんなさい。
いまいち意図が読めずハルタさんを見れば、ハルタさんはさっきまでのニコニコとは違う、だけど悪い意味ではない綺麗な笑顔で、笑った。
「ま……見ててよ」
途端、ハルタさんが暗闇に一歩を踏み出した。え?何ですか?とか思う間もなく姿すら見えなくなって、完全に私は取り残された。
ハルタさん。そう呼び掛けようとするより早く、もう一度ハルタさんの方から声があがる。
「3、2、……1!」
――パッ!……と。
真っ暗だった部屋が、一気に明るくなった。
急に明るくなっては、暗闇ばかり見てた私には当然眩しいわけで。思わず両手を顔の前に持ってきて明かりを遮る。
「あづさちゃん」
「え?ちょ…待って下さい、眩しくて、」
「ははっ、おれらも眩しいっての!」
「早く目ぇ開けてみろよい」
「………え?」
明らかにハルタさんとは違う声が二人。
思わず眩しいのを覚悟でパチパチと瞬きしてから手を避けた。
素晴らしいお御髪が、二人。
「………マルコさんと…サッチさん?」
「おれは?」
「あ、エースさん。………と、……あれ?」
目を開けた先には、最初に見たお御髪コンビの他にも見慣れた人たちがいた。
イゾウさん、ビスタさん、ジョズさん。マルコさんにサッチさんにエースさんに、それからハルタさん。
私がこの船で―――ちゃんと、話したことのある人たち。
「あー…その、なんつうの?あづさちゃん、勘は鈍くないだろうし、気付いてるとは思うんだけどさ…」
「おめぇらみんな、わかりやす過ぎなんだろうよ。……あづさ、つまりはァこういうことだ」
サッと、人の集団が端に避けた。
その行動の意味なんかわからず、とりあえずその避けた先に目を向けてみる。
「サプライズ……なぁなんてな」
エースさんが笑った先。ハルタさんが、ニコニコしてたわけ。
みんなが、避けていた理由。
「家…具……?」
赤とピンクのチェックな布団。小窓用にだろうか、オレンジの小さなカーテン。
綺麗な模様が彫られた全身鏡に、青色の櫛。
黄緑のコップと、何食かのタオルが数枚。
―――これ全部……もしかして………
「居候、とかあづさちゃんは言うけどさ」
いつの間にか私の周りを囲うようにして、みんな笑っていた。
「いくら一時的っていったって……そんな壁、作らなくていいと思うんだよね」
だってせっかく出会ったのに、淋しいじゃん。
ハルタさんがそう言って、他の人たちも頷いて。
これ全部かき集めたんだぜ、とか、女の子の趣味に合うものよくわからないんだけど、とか。
そんな――心遣い、ばっかで。
「どうかな?あづさちゃん」
「貰って、くれるか?」
(―――そんなの、)
どうしていいか、わからないじゃないか。
私は居候で、向こうの世界じゃ何もないただの高校生で。それはやっぱりこっちでも変わらず何も持ってなくて。
働くったって家事の手伝いとかだし、海のことも海賊のことも、それ以前にこの世界のこともこの船のことだってわからないのに。
どうしていいか、わからないのに。
「ありがと、う…ございます……」
―――嬉しいと思ってしまうのは、図々しいだろうか。
ぐしゃぐしゃとジョズさんに頭を撫でられ、
イゾウさんに微笑みかけられ、エースさんに笑われ、
ビスタさんに謝られ、サッチさんに照れられ、マルコさんに背中を押され、
ハルタさんが、意地悪そうに笑う。
そんな彼らに……私は、どう返したらいいのだろう。
自分でもわからないくらい、心の内を、
どう、例えれば、いいのだろう。
この感覚とか、全くわからない。体験した憶えなんかない。
だから、なんて言ったらいいか、わからない。わからないけど、
ただただ―――私は嬉しいんじゃないかと、漠然と思った。
ありがとうとしか、言えない。
- 3 -
「………じゃーんって、真っ暗ですよ」
「うん。知ってる」
大丈夫かこの人、と思ったのは秘密。
ハルタさんに連れて来られたのは一つの部屋。しかもただの部屋じゃなく、私の記憶じゃ誰も使ってないけど広い部屋。多分ストックというか、予備か何かなのかなと認知してた。
その部屋の扉を開けて入ったはいいけど、中は真っ暗。明かりは一切ない。そんなところでじゃーん!とか言われても何もわかるわけがない。ハルタさんごめんなさい。
いまいち意図が読めずハルタさんを見れば、ハルタさんはさっきまでのニコニコとは違う、だけど悪い意味ではない綺麗な笑顔で、笑った。
「ま……見ててよ」
途端、ハルタさんが暗闇に一歩を踏み出した。え?何ですか?とか思う間もなく姿すら見えなくなって、完全に私は取り残された。
ハルタさん。そう呼び掛けようとするより早く、もう一度ハルタさんの方から声があがる。
「3、2、……1!」
――パッ!……と。
真っ暗だった部屋が、一気に明るくなった。
急に明るくなっては、暗闇ばかり見てた私には当然眩しいわけで。思わず両手を顔の前に持ってきて明かりを遮る。
「あづさちゃん」
「え?ちょ…待って下さい、眩しくて、」
「ははっ、おれらも眩しいっての!」
「早く目ぇ開けてみろよい」
「………え?」
明らかにハルタさんとは違う声が二人。
思わず眩しいのを覚悟でパチパチと瞬きしてから手を避けた。
素晴らしいお御髪が、二人。
「………マルコさんと…サッチさん?」
「おれは?」
「あ、エースさん。………と、……あれ?」
目を開けた先には、最初に見たお御髪コンビの他にも見慣れた人たちがいた。
イゾウさん、ビスタさん、ジョズさん。マルコさんにサッチさんにエースさんに、それからハルタさん。
私がこの船で―――ちゃんと、話したことのある人たち。
「あー…その、なんつうの?あづさちゃん、勘は鈍くないだろうし、気付いてるとは思うんだけどさ…」
「おめぇらみんな、わかりやす過ぎなんだろうよ。……あづさ、つまりはァこういうことだ」
サッと、人の集団が端に避けた。
その行動の意味なんかわからず、とりあえずその避けた先に目を向けてみる。
「サプライズ……なぁなんてな」
エースさんが笑った先。ハルタさんが、ニコニコしてたわけ。
みんなが、避けていた理由。
「家…具……?」
赤とピンクのチェックな布団。小窓用にだろうか、オレンジの小さなカーテン。
綺麗な模様が彫られた全身鏡に、青色の櫛。
黄緑のコップと、何食かのタオルが数枚。
―――これ全部……もしかして………
「居候、とかあづさちゃんは言うけどさ」
いつの間にか私の周りを囲うようにして、みんな笑っていた。
「いくら一時的っていったって……そんな壁、作らなくていいと思うんだよね」
だってせっかく出会ったのに、淋しいじゃん。
ハルタさんがそう言って、他の人たちも頷いて。
これ全部かき集めたんだぜ、とか、女の子の趣味に合うものよくわからないんだけど、とか。
そんな――心遣い、ばっかで。
「どうかな?あづさちゃん」
「貰って、くれるか?」
(―――そんなの、)
どうしていいか、わからないじゃないか。
私は居候で、向こうの世界じゃ何もないただの高校生で。それはやっぱりこっちでも変わらず何も持ってなくて。
働くったって家事の手伝いとかだし、海のことも海賊のことも、それ以前にこの世界のこともこの船のことだってわからないのに。
どうしていいか、わからないのに。
「ありがと、う…ございます……」
―――嬉しいと思ってしまうのは、図々しいだろうか。
ぐしゃぐしゃとジョズさんに頭を撫でられ、
イゾウさんに微笑みかけられ、エースさんに笑われ、
ビスタさんに謝られ、サッチさんに照れられ、マルコさんに背中を押され、
ハルタさんが、意地悪そうに笑う。
そんな彼らに……私は、どう返したらいいのだろう。
自分でもわからないくらい、心の内を、
どう、例えれば、いいのだろう。
この感覚とか、全くわからない。体験した憶えなんかない。
だから、なんて言ったらいいか、わからない。わからないけど、
ただただ―――私は嬉しいんじゃないかと、漠然と思った。
ありがとうとしか、言えない。