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エースさんとサッチさんが取り合い


一緒に飯食おうぜ!

サッチさんにそう言われたのが昨日の昼。エースさんにそう言われたのは今日の朝。夜は何人かの隊長さんたちと一緒に食べる習慣がついてるから、誰かに誘われることなく自然と皆さんと食べてる。

一昨日の朝はエースさん。更に前はサッチさん。そして朝食昼食を遡っていくと、サッチさんエースさんサッチさんエースさんエースさんマルコさんサッチさん、エースさん。
何だか一緒にいる人が固定化されてないか、と思ったところで、よくして頂けるのは嬉しいことだし特に不満もない。たまにはイゾウさんにワノ国の話を聞きたいなとか、気配り上手なハルタさんとのんびりお話したいなだとか、おじさまのあのよくわからないガーデニングの話も聞きたいだとか、慣れないのかぎこちないジョズさんともっと話してみたいなとか、色んな人と交流を深めたいなとは思うことはある。
けれどもまぁ、この船の人たちは個ではなく全体という感じがするから、それはそれでいいのだけど。

今日の昼。
つまりは現在。
それまで狙ってるんじゃないかと思えるくらい、面白いくらいにかち合わなかった二人が、初めてブッキングした。


「あづさは、おれと飯食うの」
「いやいやエースくん?お前今日朝一緒に食ってたでしょ、サッチさんにはお見通しだ!」
「そんな証拠どこにあんだよ!」
「言ったなお前!ねーマルコ!朝食ってたもんな、見たよなお前、俺と一緒にいたもんな!?」
「忘れたねい」
「マルコぉおおおお!!??」
「ハっ」


―――なにをしてるんだ、このおっさん方は……。

机の向かい側で論争を繰り返す二人。
サッチさんの隣で黙々とご飯を食べるマルコさん。
愉快な光景と言えばそうだが、私には異様に見える。なんかもう、愉快を通り越して失礼ながら馬鹿に見える。同じ机に四人いてマルコさんが食べ始めてる時点で一緒に食べればいいと思っちゃうんだけど。というか、これ一緒に食べてるよね既に。


「いやいやあづさちゃん。それはまたちょっと違うかな」
「あ」
「隣いい?」


どうぞ、と言うよりも早く隣に座るハルタさんの動きは自然だ。違和感がない。
相変わらずこの人は凄いなぁなんて思いながら、違うってなんですか、と先刻言われたことにつっかかる。ハルタさんもそれを笑顔で受け取った。


「これは最早、勝負だよ」
「はぁ」
「まぁ暫く見ててあげて」


頂きまーす!なんて元気よく食べ始めたハルタさんを見ながら、これ私の右側の人たちだけ見たら一緒に食べてる状態だよな、とため息。マルコさんが時折エースさんの食べ物の山から何かを取っていく。………摘ままれてますけど。

いつまで続くかなぁと、私は私で目の前にあるおいしそうな料理を前にお預け状態。冷めないうちにどーぞ!がご飯の醍醐味だと思うんだけど。作った人目の前にして料理を冷ますのも、作った人に何も言わず食べるのも嫌だからやっぱりお預け。あぁ……良い匂いとおいしそうな見た目が憎らしい……。


「よーし、エース……ここはもう男らしく、白黒ハッキリさせようじゃねェか……!」
「上等だサッチ!負けても恨むんじゃねぇぞ……!」


あぁ、やっと決まるんですか。
ちょっと湧き出た期待から、今まで見つめていた料理から視線を外して二人の成り行きを見守る。
そろそろお腹が鳴りそうです。


「あづさ!」
「あづさちゃん!」

俺とコイツ、どっちが相応しい!?


「……へ?」


思わず間抜けな声が出た。何が面白かったのか隣にいたハルタさんは噴き出した後堪えるように笑い、マルコさんもきょとんとした後ニヤケだした。何だこのおっさん方。

私はと言えば、最初に聞かないだろうか、それ……という気持ちでいっぱいである。なんか順位が違う気がするんだ。え?なんなのこの状況、え?

………えええ?


「……話の主旨、違くないですか?」


いつから相応しいかの話になった。

空気を読んだのか読めてないのか、私のお腹の音が情けなくぐーとなった。
もうそろそろいいかな、と自分で聞いといて何故か唖然としてるエースさんとサッチさんを一瞥して、サッチさんに頂きます、と声をかける。

ハルタさんとマルコさんが、今度こそ声を出して笑った。
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