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マルコさんとサッチさんと夜更かしトーク(1/2)
酒は飲んでも飲まれるな。
――有名な言葉だ。特におれ達海賊なんて輩は、常に酒と縁がある。酒は好きだが、酒に飲まれちまったらこの広く険しい海。何が起きるかなんてわからねェし、生き残るには厳しい。そんなものは、言われずとも海に出る奴らは皆しってる。
…………海に出る、奴らは。
「でさあ?あづさちゃん!おれ的には、やっぱり男として女の子の意見も聞きたいわけよ!あ、コーラどーぞ!」
「はぁ……そうですか。ありがとうございます」
「ぶっちゃけ、おれってイケてる!?」
あー、はいはい。とでも言いたげなあづさの視線とかち合う。あづさの隣、俺の正面にいるサッチは明らかにテンションが高い。誰だよい、変な酔い方はしねぇとか言ったコックは。
月見って知ってますか、とあづさがおれ達を誘ってきたのはほんの一時間前。クルーも海も割と穏やかで、静かな満月の夜。これはなんとも良い難いもんだねい、と風流っつう言葉に浸ってちびちび酒を飲むおれと、なんてことないオレンジジュースを飲むあづさ。それから、酔いに酔いを重ねたアホ。
せっかくの月すら邪魔しちまいそうな勢いのサッチに、おれもあづさも苦笑しか出ない。
かといっておれが酔ってないかと問われれば―――…それもまぁ、否定は出来ねェが。
「ねぇ聞いてる?あづさちゃん?」
「聞いてますよー」
「じゃあ質問変えて、おれとマルコの第一印象とかどうよ!?」
えっ、とあづさの口から言葉が漏れる。
ちらりと困ったように見てきたその視線から、ほんの僅かの気まずさと恥じらいを感じて、思わず楽しい気分になる。
あぁ、所詮は――…サッチもおれと、同じかもしれない。
あづさに気付かれぬよう、サッチを盗み見れば、やはりコイツも楽しそうに口角をあげた。楽しそうに、愉しそうに。
あづさに女を感じたことはないが、からかうのはやはり愉しい。それがまた泥臭い野郎ではなく、ばっさばさした性格とはいえ、年頃の女の子というカテゴリに入る子なら尚更。
これが狙いだとわかってしまえば、それはももう、サッチの味方をするしかないわけで。
「聞きたいねい、それは」
「だろー?どっちでもいいぜ!おれ達の第一印象か、おれとマルコはイケてるか!!」
「ちょ……マルコさんまで増えてるじゃないですか!」
「サッチだけいうのは不公平だろい」
「そうそう!」
ニヤニヤと、年いったおっさんが追い詰める光景は我ながら危ないと思う。
けれど、やはり酒の雰囲気なのか……あづさの反応もまた、いつもより子供らしく、年相応だ。
こういう意味のないからかいが、楽しく思える。
「………イケて、る……んじゃ、ないですか」
「ほんと?どこが?」
「えええ……サッチさんは優しいし、料理バッチこいだし……マルコさんは声いいのと…………色気?」
ぶふ!とサッチが盛大に酒を噴き出す。勿論誰もいない方向に。
おれはと言えば、予想外な誉め様に思わず酔いもぶっ飛ぶくらい驚く。まさに唖然。開いた口がふさがらない。
「え?え?色気?あづさちゃんコイツに色気感じるの?ってかおれとの差が酷い!」
「えー?だって、マルコさん知的じゃないですかー。まぁ色気断トツはイゾウさんだと思いますけど。私よくわかんないもん」
「え!どうしようマルコ!あづさちゃんが素直!!」
「とりあえずお前は落ち着け。あづさ、おれのことは好きかい?」
「お前が落ち着け!!」
とう!とサッチに頭を叩かれてはっとする。おれとしたことが、動揺し過ぎたよい……。
冷静になって、サッチと顔を合わせた後あづさを見る。いつもより少しあどけなく感じるきょとんとした表情のあと、あづさはえへへ、とふにゃりと口を緩めた。
「サッチさんもマルコさんも、大好きだと思いますよー?」
お兄ちゃんみたい。
そう続けられた言葉に、楽しいだとか愉しいだとか、ましてや酒の酔いなんてもんは吹っ飛んだ気がした。
照れる。いい年したおっさんが二人して、なんてことないただの女の子、それも居候で性格がばっさばさしてる子に―――不意を、つかれるなんて。
「………サッチ」
「………なんだ」
「おれ、妹ほしいって初めて思ったよい」
「奇遇だな、……おれもだ」
警戒心はどこへやら。
少なくともあづさがこんな状態な時くらい、許されるかい―――…なんて。
君もおれたちも気付かないうちに距離が砕けていることに気付け
しかしまだ、気付く様子などなく。
それがまた……調度よく。
後日談→
- 5 -
――有名な言葉だ。特におれ達海賊なんて輩は、常に酒と縁がある。酒は好きだが、酒に飲まれちまったらこの広く険しい海。何が起きるかなんてわからねェし、生き残るには厳しい。そんなものは、言われずとも海に出る奴らは皆しってる。
…………海に出る、奴らは。
「でさあ?あづさちゃん!おれ的には、やっぱり男として女の子の意見も聞きたいわけよ!あ、コーラどーぞ!」
「はぁ……そうですか。ありがとうございます」
「ぶっちゃけ、おれってイケてる!?」
あー、はいはい。とでも言いたげなあづさの視線とかち合う。あづさの隣、俺の正面にいるサッチは明らかにテンションが高い。誰だよい、変な酔い方はしねぇとか言ったコックは。
月見って知ってますか、とあづさがおれ達を誘ってきたのはほんの一時間前。クルーも海も割と穏やかで、静かな満月の夜。これはなんとも良い難いもんだねい、と風流っつう言葉に浸ってちびちび酒を飲むおれと、なんてことないオレンジジュースを飲むあづさ。それから、酔いに酔いを重ねたアホ。
せっかくの月すら邪魔しちまいそうな勢いのサッチに、おれもあづさも苦笑しか出ない。
かといっておれが酔ってないかと問われれば―――…それもまぁ、否定は出来ねェが。
「ねぇ聞いてる?あづさちゃん?」
「聞いてますよー」
「じゃあ質問変えて、おれとマルコの第一印象とかどうよ!?」
えっ、とあづさの口から言葉が漏れる。
ちらりと困ったように見てきたその視線から、ほんの僅かの気まずさと恥じらいを感じて、思わず楽しい気分になる。
あぁ、所詮は――…サッチもおれと、同じかもしれない。
あづさに気付かれぬよう、サッチを盗み見れば、やはりコイツも楽しそうに口角をあげた。楽しそうに、愉しそうに。
あづさに女を感じたことはないが、からかうのはやはり愉しい。それがまた泥臭い野郎ではなく、ばっさばさした性格とはいえ、年頃の女の子というカテゴリに入る子なら尚更。
これが狙いだとわかってしまえば、それはももう、サッチの味方をするしかないわけで。
「聞きたいねい、それは」
「だろー?どっちでもいいぜ!おれ達の第一印象か、おれとマルコはイケてるか!!」
「ちょ……マルコさんまで増えてるじゃないですか!」
「サッチだけいうのは不公平だろい」
「そうそう!」
ニヤニヤと、年いったおっさんが追い詰める光景は我ながら危ないと思う。
けれど、やはり酒の雰囲気なのか……あづさの反応もまた、いつもより子供らしく、年相応だ。
こういう意味のないからかいが、楽しく思える。
「………イケて、る……んじゃ、ないですか」
「ほんと?どこが?」
「えええ……サッチさんは優しいし、料理バッチこいだし……マルコさんは声いいのと…………色気?」
ぶふ!とサッチが盛大に酒を噴き出す。勿論誰もいない方向に。
おれはと言えば、予想外な誉め様に思わず酔いもぶっ飛ぶくらい驚く。まさに唖然。開いた口がふさがらない。
「え?え?色気?あづさちゃんコイツに色気感じるの?ってかおれとの差が酷い!」
「えー?だって、マルコさん知的じゃないですかー。まぁ色気断トツはイゾウさんだと思いますけど。私よくわかんないもん」
「え!どうしようマルコ!あづさちゃんが素直!!」
「とりあえずお前は落ち着け。あづさ、おれのことは好きかい?」
「お前が落ち着け!!」
とう!とサッチに頭を叩かれてはっとする。おれとしたことが、動揺し過ぎたよい……。
冷静になって、サッチと顔を合わせた後あづさを見る。いつもより少しあどけなく感じるきょとんとした表情のあと、あづさはえへへ、とふにゃりと口を緩めた。
「サッチさんもマルコさんも、大好きだと思いますよー?」
お兄ちゃんみたい。
そう続けられた言葉に、楽しいだとか愉しいだとか、ましてや酒の酔いなんてもんは吹っ飛んだ気がした。
照れる。いい年したおっさんが二人して、なんてことないただの女の子、それも居候で性格がばっさばさしてる子に―――不意を、つかれるなんて。
「………サッチ」
「………なんだ」
「おれ、妹ほしいって初めて思ったよい」
「奇遇だな、……おれもだ」
警戒心はどこへやら。
少なくともあづさがこんな状態な時くらい、許されるかい―――…なんて。
君もおれたちも気付かないうちに距離が砕けていることに気付け
しかしまだ、気付く様子などなく。
それがまた……調度よく。
後日談→