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オムライス


ぽつん、って。

へやのなかに、一人。
ラップにくるまれたお皿の上には、だいこうぶつのオムライスがあった。
レンジあっためてね、いってきます。と書かれたメモは、毎日おなじ内容。おかあさんの、字。


「……いただき、ます」


あっためて、ケチャップで文字を書いて。
わたしはその頃、オムライスに嫌なものをかいて、たべたらいやなものはなくなるって、変な願掛けをしていた。




「ん……」


ぱち。目が覚めた。
がやがやと周りがうるさくて、そういや食堂にいたんだと思い出す。


「おはよい」
「あづさ!飯だぞ飯!」
「今日はサッチさま特製、ふんわりオムライスだぜーっと」


ことん、と目の前に置かれた皿。
夢の中で見たそれをぼんやり見ながら、周りを見渡す。

にこにこしたひと。

たくさんのわらいごえ。

あったかい、ひとたち。


「サッチさん、サッチさん。ケチャップ」
「お。なんか書くのか?」
「ん!」


はなればなれ。
平仮名で書いた文字。
こっちと向こうじゃ文字が違うらしく、彼等は不思議そうに覗き込んでいた。
ふつうなら無理でも、きっと、叶うよね。

なに?と聞かれた質問には、笑ってごまかした。






願い事、叶ったよ


ひとりぼっち

そう書かれたオムライスを、なんどもなんども食べては、いつか≠夢見てた。
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