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進む意思は胸の内に(2/2)


ここまで落ち着いて話せるとは思ってなかった。言う前はあんなに気持ちが落ち着かなかったのに、なんでだろうね。本当にまるで、船長さんと話した気分だ。
それからやっぱり―――私はみづめ君を守りたいのだと、彼を守らなければならないんじゃないかと。……そんな疑問が、出ては沈む。

「…………わかった」

ぼんやりしていれば、エースさんがポツリと呟いた。

「エース、さん……?」
「……お前らの事情も、あづさがおれらを選べない事情もわかった。そうしなきゃならねェんだもんな」

私の我が儘だってことは、自分でも気がついてる。今の私の話も、私の一方的感情でしかないものだってことも。自分で……わかってる。

なのにエースさんは納得した。納得して、席を立ったかと思えばエースさんが寝室として使ってるみづめ君の部屋に行って―――戻った時には、最初に出会った時と変わらぬ格好をしていた。
つまりそれは……あの漫画に散々写り、そして私が向こうの世界で何度も目にしてきた、テンガロンハッドに上半身裸の、ポートガス・D・エースで。

「……あづさ」

真っ直ぐな目が、私を捉える。

「おれはもう、帰れると思う」
「え……?」
「なんとなくだけどよ、多分な。……だからあづさ。お前の話も全部理解して、わかった上で言うぞ」

エースさんがベランダに続く窓を開けて、朝の眩しい日差しを背にする。
電気もつけてない真っ暗な部屋では、その光がある方を見つめるのは、なんとも眩しかった。


「――お前は、どうしたいんだよ」


みづめを守るだとか。
守らなきゃいけないとか。
そんな義務感とか責任感じゃなくて。

―――私が今、したいこと。


行っておいで、姉さん

自分を縛っていたものは、なくなった。

無理にとは言わねェが……いつでも戻ってきていいんだぜ

グララララ……おれ達のことは、家族と思っていい

おれの家族に、なにしてくれるんだよい!……ってな 

おかえり……あづさちゃん



(………私……は…、
私が今、したいことは……)

みづめの傍にいたい。それは変わらない。
だけど、それだけじゃなくなってしまった。

大事なんでしょ?

頭の中で、たくさんの人の声が、言葉が響く。
………うん。
そっか……そうなんだよ、ね。

ゆるゆると、エースさんを見上げた。

――初めて出会ったのは、海の中。もがいてももがいても上がれないで、浮き上がれなくて。手を差しのべたはずが差しのべられてしまった、あの深い青の中で。
まるで、あの時とは逆。
エースさんに手を差しのべた私が……今は、エースさんに。

浮かべない世界で、手を差しのべられてる。

―――私は、あの人たちを……、



「―――来いよ。あづさ」



―――救いたい。



「………はい」



伸ばされたエースさんの手をとって。

私は――自分の意思で。

あの世界を、あの世界の未来を。


変えてみせる。










lost
-in blue-









―――さぁ、行こう

立ち止まることなく


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