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小さい頃、小さな箱の中で見る わたしの憧れていたその人は、自信に満ち溢れた表情で登場して、そして いつも変わらずこう言った

" もう大丈夫、わたしが来た " と。


「 わたしも、オールマイトになれるかなあ 」





12月、受験を目前に控えたわたしに送られてきた一通の手紙。厳重に封がしてあり、ハサミを使って開けてみれば 中には 雄英高校と書かれた文字と、マークが印刷された紙が入っていた


" 蝕喰名前 様
 雄英高校校長 根津

 拝啓 木枯らしが吹きすさぶころとなりましたが、蝕喰様はいかがお過ごしでしょうか。
 さて、早速本題へと移らせていただきます。来春から蝕喰様も高等学校へ上がるとのことですが、進路は如何なさったのでしょうか。我が校では 来年度のヒーロー科教師全員を集め、危険個性保持者会議をしたところ、万場一致で蝕喰様の個性が保護管理が必要な個性危険レベルS+に値するとの結論となりました。
 つきましては 誠に勝手ながら 蝕喰様には個性監視の名の下、長らく設けていなかった特待生として、来春から我が校ヒーロー科の一員となって頂くことになりました。導入した書類に保護者代理人からのサインを記し、近日中に折り返し郵送してくださると幸いです。来春から蝕喰様が我が校に通うことを教師一同、心よりお待ちしております。
 最後になりましたが お身体にはくれぐれもご自愛ください。"


紙を持った手が震えた
喉が掠れた、
うまく呼吸ができなくて仕方がない

お前じゃヒーローになれない、そう言われた気がした。憧れた雄英高校に入るために、ヒーロー科に入って本物のヒーローになるために、必死に勉強してきたのに。それまでの自分がこんな紙切れ一枚如きに否定されたような気がしてしまった

こんな望まぬ形で、雄英高校のヒーロー科に入りたくなんかなかった

どうしようもなく、悲しい。こんな個性でも、ヒーローとして、昔 憧れてしまったあなたのようなヒーローになりたいと思っていたのに、突きつけられた現実は酷く残酷だったのだ


嗚呼 結局、わたしは −−





Against all odds

chapter one
無理に理由をつけて納得して生きている