入学と組み分け
1939年9月1日金曜日
その日も例年と変わらずに行われる組み分けを、三年生になったリドル少年と七年生で監督生になったアブラクサス・マルフォイは退屈そうに眺めていた。
…どちらも退屈を悟られない程度に、ではあるが。
アブラクサスは監督生ということも有りスリザリンの新入生には微笑みと共によろしく、と声を掛けたが、リドルに至ってはぼうっと壇上に上がる新入生を眺めているだけだった。
ひとり飛び抜けて大きな体の、巨人の血が流れているのであろう少年もちらりと視界に入れたが、マグルに留まらず巨人までも入学させるとは、と失笑しただけだった。
ああ、なんだ。
今年も特に変わった事も無いし、面白味がないな。
そう思いながら近くのゴブレットに、あるいはこっそりと持ってきていた本に伸ばした手が、ある少女を見て止まった。
「プレミンジャー・ステラ!」
ステラ
そう呼ばれた少女は、壇上の椅子へと歩みを進めた。
背が一回り小さいのか、んしょ、と声を漏らしながら椅子に座ったその少女は、組み分け帽子を被せられると胸の前で祈るように手を組んだ。
帽子はずり落ちたが、顔には被らなかった。
お蔭で見えた少女の目を閉じ祈る顔は驚く程白く、そして薄っすらと紅く染まっていた。
-始まりのはじまり-