その少女は
ステラ・セレニティ・プレミンジャー
まるでミルクのように白く艶やかな髪に、白珠の肌。
ほんのりと紅い頬に、桜色の薄い唇。
そして、煌めきを湛える瞳。
その輝く瞳は少女をつくる色彩とはおよそ似つかわしくない、黒曜石の色をしていた。
誰もが少女に惹き込まれ、騒がしい大広間は途端に静まり返った。
ああ、帽子さんお願いです。
私はレイブンクローに入りたい。
少女は帽子にそう呟いた。
《そうかね?しかし君にはグリフィンドールとスリザリンどちらの素質も備わっておる。何せ君はプレミンジャー家の子だ、そうレイブンクローのみと言わずとも…》
「レイブンクローレイブンクローレイブンクローレイブンクローレイブンクローレイブンクローレイブンクロー……」
帽子は強くレイブンクローを志願した少女を見てその持っている素質を感じ取り、他にも道が拓ける可能性が有ることを示した。
しかし少女の決意は固く、帽子の言葉を聞いた途端にひたすらそう繰り返す少女に、諦めた帽子はやや焦った様子で答えた。
《わかった!わかったから繰り返すのは止めなさい!そうだな、だから、君は…》
レイブンクロー!!!
それを聞いた少女は目をパッと開き、帽子にお礼を言うと満面の笑みでレイブンクローの席へと向かう。
そして着席する前に、二年前に入学し少女を待っていた従兄妹に嬉々として飛びついた。
レイブンクローの盛り上がりは凄まじく大広間はワァッと五月蠅くなり、他寮のテーブルからも悔しがる声が多く上がる。
スリザリンの約二名。
リドルとアブラクサスは意図してか無意識か、その様子を、少女をジッと見つめていた。